2018年10月20日(土)

春秋

春秋
2018/10/10付
保存
共有
印刷
その他

中国は世界で最も安全な国のひとつだと、ますます多くの人が考えるようになっている――。かの国の最高指導者である習近平国家主席がこう宣言して喝采を浴びたのは、2017年9月のことだ。北京で開かれた国際刑事警察機構(ICPO)総会での、演説だった。

▼当時のICPO総裁は、前年に就任したばかりの孟宏偉氏。中国公安省の次官でもあった。北京での総会開催は、孟氏が故郷に錦を飾ったような趣があった。あれからおよそ1年。ほかでもない孟氏が習主席のことばに対する反証となったのは、皮肉というべきか。母国に戻ってすぐに、家族との連絡が途絶えたのである。

▼その後の展開は周知の通り。失踪から10日以上たって中国当局は「違法行為の疑いで調査している」と発表した。先月このコラムでも触れた女優のファン・ビンビン(范冰冰)さんが100日以上も行方しれずだったのに比べると素早い発表だが、孟氏が国際機関のトップだったのを踏まえれば、やはり常軌を逸している。

▼実は近年、中国と縁の深い人たちの間で「どんどん安全でなくなっている」といった声が出ていた。現実にスパイ容疑で逮捕される日本人が増えている。浮世離れしてみえる歴史研究者から「危ないので訪中しない」とうかがって驚いたこともある。やがて世界一の経済大国になろうという隣国の行方は何とも心配である。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報