2018年10月20日(土)

日韓は歴史の溝埋める重層的な関係を

社説
2018/10/8付
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日本と韓国が未来志向の関係発展への努力をうたった日韓パートナーシップ共同宣言を発表して8日で20年を迎えた。両国が互いに相手の存在をよく見つめ直す機会にしたい。

同宣言は、日本が韓国に対し、過去の歴史への反省とおわびを初めて公式に明文化した。韓国も戦後の日本の民主主義や平和への努力を評価した。

金大中大統領が決断した日本の大衆文化の開放により、民間交流が本格化した。この20年間で人の行き来は3倍超に拡大し、平均すると、毎日2万5千人以上が両国を出入りする。今年の往来は1千万人突破が予想される。

言論NPOが6月に発表した両国民対象の世論調査によると、韓国人で日本に渡航経験がある層は経験がない層に比べ、日本によい印象を抱く回答が3倍に上る。世代が若くなるほど相手への好印象が増えるのは両国に共通だ。じかに国民性や文化に触れ、相互理解が進むのは望ましい姿だ。

韓国が自国開催の国際観艦式において海上自衛隊が自衛艦旗である旭日旗の掲揚を自粛するよう求め、日本は参加見送りを決めた。韓国では旧日本軍が使用した旭日旗を日本による植民地支配の象徴とみる人が多い。

民心から生まれたと自負する文在寅政権は世論に影響を受けやすい。従軍慰安婦問題や元徴用工の損害賠償請求訴訟を含め、文政権の言動には受け入れがたい部分がいくつもあるが、日韓関係全般への波及は避けなければならない。歴史の溝を少しでも埋めるため共通の利益を広げるべきだ。

失業率が高い韓国の若者の日本での就職支援はそのひとつだ。外務省が設けた有識者会合は、日韓のプロ野球球団による「アジアリーグ」創設や、映画・ドラマの日韓合作などを提言した。国家間の確執を乗りこえるには、重層的な関係を築く必要があろう。

米朝交渉が進展すれば、非核化プロセスや安全保障体制づくりで日韓の連携が欠かせない。保護貿易に突き進む米国や、中国の台頭に対抗するうえでも、協力できる余地はいろいろある。

「両国国民の幅広い参加と不断の努力により、さらに高次元のものに発展させる」。20年前の宣言はこう結び、両国民に共同作業を呼びかけた。歴史問題の出口がみえないなかで、信頼関係の地道な積み重ねが重要となる。

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