2018年10月16日(火)

データ社会のリスク直視を

社説
2018/10/6付
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米フェイスブックが運営する交流サイト(SNS)がサイバー攻撃を受け、多数の利用者が個人情報を盗み見られるリスクにさらされていたことが分かった。

同社はサイバー攻撃対策に多くの人員や資金を費やしてきた。それでも被害に遭ったのは深刻だ。企業や利用者、政府はデータを高度に活用する社会のリスクを直視し、備えを強める必要がある。

フェイスブックによると、サービスの利用に必要な「トークン」と呼ぶ鍵の情報を盗まれた。最大5千万人の利用者が一般に公開していない情報を見られたり、本人になりすましてメッセージを送受信されたりする恐れがある。

フェイスブックは盗まれたトークンを無効にし、サイバー攻撃を受けるきっかけとなった機能を停止している。だが、これだけでは十分ではない。

ソフトに攻撃者がつけいる隙がないか再点検する必要がある。高い能力を持つ専門家の力も借り問題の防止に全力を挙げるべきだ。個人情報を活用したサービスを提供するすべての企業はこうした対策を急がなくてはならない。

ただ、いくら守りを固めてもサイバー攻撃を完全に防ぐのは難しい、というのが専門家の共通した見方だ。企業は攻撃を受けることを前提に対策を練るべきだ。

利用者も完璧な対策がないことを理解し、サービスを使う必要がある。まずは必要以上の情報を預けないことだ。フェイスブックを使って重要な情報をやり取りするのも、危険をはらむ。

政府の役割も問われる。欧州連合(EU)は今年5月、個人情報保護の新ルール「一般データ保護規則(GDPR)」を施行し、企業の責任を重くした。この新しいルールがフェイスブックに対応を急がせた側面がある。

日本にも個人情報保護法があるが、GDPRと比べると企業が負う責任は軽い。利用者の安全や安心はデータ社会の基盤となる。過剰規制は戒めつつも、よりよいルールづくりを急ぐ必要がある。

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