2018年10月17日(水)

豊洲を安全で利便性の高い卸売市場に

社説
2018/10/6付
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国内最大規模の卸売市場である築地市場が6日を最後に営業を終え、後継の豊洲市場が11日に開場する。開設者である東京都と市場関係者は豊洲を安全で利便性の高い卸売市場にし、食品流通の効率化につなげてもらいたい。

豊洲は当初予定した2016年の営業開始を小池百合子都知事が延期。汚染対策工事の不備を直し、小池知事が今年7月に「安全宣言」をして開場にこぎつけた。

ただ、本当に安全性が確保されているのか、市場参加者の間にはなお疑問の声が残る。施設そのものは安全だが、地下水からは依然として環境基準を大幅に上回る有害物質が検出されている。

築地と同じく、豊洲は都外にも食品を供給する日本の中核市場になる。市場開設者である都には、地下水があふれ出ないよう管理を徹底し、情報を広く公開して風評被害を防ぐ責任がある。

豊洲は市場内の温度を一定に保てる設備などを持つ。現代の食品流通には欠かせない機能だが、こうした設備だけで卸売市場に活気が戻るわけではない。

産地はインターネットなどを通じて消費者や小売りに直接、食品を売るようになった。卸売市場の利用率が低下し続けているのは「費用に見合う価値がない」とみられているからだ。

産地と結びついて魅力的な食品をつくり国内外の市場に売り込む努力が、卸売市場にも必要だ。オランダの花き市場はアフリカなどの産地からも商品を集め、それを各国に送り出す拠点として世界的な地位を確立した。

卸売市場は単なる器ではなく、経営体である。民間企業の知恵も借りて、市場としての成長戦略を描かなければならない。

都が17年に示した試算では、豊洲市場は減価償却費もふくめて年間92億円の赤字になる。取引量を増やし、経営の合理化を徹底しないと、経営はいずれ行き詰まりかねない。

政府は卸売市場ごとの判断で取引の自由度を増すことができる改革策を決めた。卸売手数料の設定はすでに自由だ。こうした規制緩和をいかし、競争力を高めていくことが求められる。

物流業界などの人手不足を解消するためにも食品流通の効率化は喫緊の課題だ。赤字解消のカギとなる築地市場跡地の活用策や豊洲のにぎわいをつくる集客施設の具体案も、早急に詰めてほしい。

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