2018年10月16日(火)

養育費の不払いに歯止めを

社説
2018/10/5付
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裁判などで決まった養育費が支払われず、離婚後の生活に困窮する家庭は少なくない。これに歯止めをかけようと、法制審議会が民事執行法の改正要綱を答申した。不払いを続ける親に対し、強制執行をしやすくする内容だ。

改正の柱は、裁判所が金融機関や自治体などに対し、相手方の預貯金や勤務先の情報提供を命じる規定を設けることだ。

貯金などの差し押さえには、金融機関名と支店名の特定が必要だが、このハードルが高く、泣き寝入りする家庭は多かった。また相手が勤務先を変える場合もあり、給与の差し押さえも難しかった。

子どものいる夫婦の離婚は、年間10万件を超えている。両親が離婚しても、子どもの健やかな成長のための費用を負担するのは親の責任だ。見直しは妥当だろう。

ただ、養育費を確保するためには、強制執行以前にすべきことは多い。厚生労働省の2016年の調査では、母子家庭で養育費の取り決めをしているのは43%、実際に受け取っているのは24%だけだ。難しい事情はあるだろうが、きちんと取り決め、公正証書などで残しておくことがまず必要だ。

海外では、養育費の確保に国が積極的に関与する例もある。日本でももっと家族を支援する仕組みを考えたい。

今回の答申では、子どもの引き渡しの強制執行についてのルールも盛り込まれた。親権を失った親が子どもを連れ去った場合、その親の不在時に、親権のある親への子どもの引き渡しができるようにする。これまでは明文の規定がなかったうえ、連れ去った親が抵抗すると引き渡しができずにいた。

国境を越えた子どもの連れ去りを解決する国際ルール「ハーグ条約」についても、国内の実施法を同様に見直す。

強制執行の実効性を高めることは、司法判断を尊重するうえで欠かせない。一方、ここでも子どもの利益を最優先に考え、その子の気持ちに十分配慮した運用をしてほしい。

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