2019年2月21日(木)

海洋プラ規制で対応急ぐ企業 長期視点の資源戦略を
Earth新潮流 日経ESG編集部 相馬隆宏氏

コラム(ビジネス)
2018/10/8 6:30
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製品の容器や包装などにプラスチックを使用する企業が、資源戦略を相次いで見直している。

容器に再生材を100%使用したユニリーバのシャンプーやコンディショナー

容器に再生材を100%使用したユニリーバのシャンプーやコンディショナー

英蘭ユニリーバは2025年までに、プラスチック製容器をリサイクル・リユースできるものか、堆肥化できるものにする。さらに、使用するプラスチックの25%以上を再生材に切り替える。

スイスのネスレも同年までにプラスチックを含む包装材料をすべてリサイクルまたはリユース可能なものにする。「プラスチック廃棄物は今日、世界が直面する最も大きなサステナビリティに関する課題の一つだ」(ネスレのマーク・シュナイダー最高経営責任者=CEO)とみている。

企業を突き動かしているのが、海洋プラスチック問題だ。

「ポイ捨て」されたレジ袋やペットボトルなどのプラスチックごみが海洋汚染の原因になっており、プラスチックを多く使う企業に厳しい目が向けられている。

魚や鳥などが海に漂うプラスチックごみを誤って食べれば、生態系に影響を及ぼす恐れもある。特にマイクロプラスチックと呼ぶ大きさ5ミリメートル以下の微細なプラスチックは有害物質を吸着しやすく、生物の体内に蓄積されれば重大な被害につながりかねない。大きなプラスチックごみも、時間がたてば紫外線や波の力で劣化し、マイクロプラスチックになる。そのため、幅広い企業や製品に関係してくる。

プラスチック規制を導入する動きも世界で広がっている。ターゲットになっているのは、レジ袋や食品容器、ストロー、食器など、使った後すぐにごみになる「使い捨て」のプラスチックだ。

国連環境計画(UNEP)国際環境技術センターの報告書によると、欧米やアジア、アフリカなど、60を超える国・地域が、有料化や課税、製造・販売・使用禁止という手法でレジ袋を規制。欧州連合(EU)では、食品容器や飲料の蓋、綿棒など使い捨てプラスチック10品目を対象にした規制案が5月に提出された。

日用品や食品メーカーは、規制を先回りして対応を急ぐ。まずは、プラスチック製の容器や包装のリユース・リサイクルを推進し、海などに出ていくプラスチックごみを削減する。

ユニリーバは17年に投入した新ブランド「ラブ・ビューティ・アンド・プラネット」のシャンプーやコンディショナーなどの容器に再生材を100%採用した。今年8月に英国で発売したブランド「レン」の全身洗浄料の容器も再生材を100%使用し、しかも、そのうち20%は海や砂浜、河川などで非政府組織(NGO)が集めた海洋プラスチックだ。19年には、このブランドで同様の再生容器の採用を広げる予定だ。

ただし、再生材を安定調達するためには1社単独の取り組みでは限界がある。業界レベルで変革を促すことが重要だ。現在、欧州のサーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進するエレン・マッカーサー財団と連携し、「グローバル・プラスチック・プロトコル」の策定を進めている。

消費者はユニリーバの製品だけを使っているわけではない。分別回収などがしやすいように、再生プラスチックの定義や使用する素材、表示方法などについて世界標準を作る考えだ。

海洋プラスチック問題は企業の評判や株価にも影響を与えかねないだけに、投資家も関心を寄せている。この問題への対応が投資判断の材料になることも考えられる。

ネスレ日本マーケティング&コミュニケーションズ本部コーポレートアフェアーズ統括部長の嘉納未來執行役員は「海洋プラスチック問題に対するステークホルダーの関心が高まっており、(企業としてどう取り組むかが)投資家の評価にも影響する」と話す。

あらゆるプラスチックがただちに使用禁止になるとは考えにくいが、少なくとも再生材の使用を拡大するなど、企業は長期視点で資源戦略を組み立てることが重要になっている。

[日経産業新聞2018年10月5日付]

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