2018年11月14日(水)

春秋

2018/9/30 1:13
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「船を出すのなら九月」と、かつて歌ったのは中島みゆきさんだ。誰もが海を見飽き、冬の支度で夢中だから――。9月に冬支度という詞に北海道で育った中島さんの感性が垣間見える。大地震から3週間たつ北海道の避難所で、暖房器具の搬入など冬支度が始まった。

▼関西の台風に北海道の地震と、自然災害の多かった9月が終わる。空港の閉鎖や広域停電など、思いがけぬ事態が新たにあぶり出したのは外国人旅行者への対応の不備だ。状況はわからず、デマにも振り回された。ふだんの治安はいいが、いざというとき安心できない国。そんなイメージがクチコミで広まっているそうだ。

▼観光に仕事に、身近な場で外国人が増える。NHKの国際放送局は近年、日本にいる外国人に向けた放送やネット発信を増やしている。今回の震災では計17の言語で情報を送り出した。今後は来日前の外国人にも災害や防災の心得を届けていく。「日本の良い面だけを伝えても信用されないので」と同部門の責任者は語る。

▼95年前の関東大震災では、多くの朝鮮半島出身者がデマで殺された。異常心理に電信電話の不通が重なり警察もデマを信じた。「誠に面目なき次第」と、当時警察官僚だった正力松太郎氏は省みている(加藤直樹著「九月、東京の路上で」)。災害による想定外の結果を思い起こし備えに生かす。9月をその機会にしたい。

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