原発の火山噴火対策は万全か

2018/9/28 22:39
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四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の運転差し止め申請をめぐり、広島高裁と大分地裁が相次いで再稼働を容認した。火山噴火への対策が争点となったが、高裁、地裁ともに「安全性に欠ける点はない」と判断した。ただ、他の原発を含め噴火への備えにはなおも懸念が残る。国や電力会社は対策を強めるべきだ。

伊方3号機は原子力規制委員会の審査に合格し、2016年8月に再稼働した。だが、広島高裁は昨年12月、住民らの求めに応じて運転差し止めを命じ、四国電が異議を申し立てていた。これとは別に大分地裁でも地元住民らが停止を求め、仮処分を申請していた。

争点になったのが、約130キロ離れた九州・阿蘇山が噴火したときの安全対策だ。広島高裁の前回決定では、大規模噴火が起きれば原発に火砕流が達する恐れがあるとし、差し止めの根拠とした。

同高裁は今回、原発の運転中に巨大噴火が起きるリスクは「著しく低い」と前回決定を覆し、大分地裁も同様の理由を挙げた。

大規模噴火が起きるのは1万年に1回程度とされ、原発に限らず防災対策全般で想定していない。「発生可能性や切迫性を示す相応の根拠がない限り、想定しなくてよい」とした今回の高裁や地裁の決定は、司法として一定の判断基準を示したもので、評価できる。

一方で、これで噴火対策が万全というわけではない。広島高裁は規制委が審査指針として定めた「火山影響評価ガイド」について「不合理」と指摘した。

同指針は火山噴火の時期や規模をある程度予測できることを前提にしているが、火山学者から異論が出ている。大規模噴火の前に核燃料をどう運び出すかなども対策が要る。規制委は指針を見直し、これらを詰めるべきだ。

遠くの火山で中小規模の噴火が起きても大量の火山灰が降り、非常用発電機などが機能しなくなる恐れがある。電力会社や規制委は最新の科学的知見を集め、安全対策を絶えず見直す必要がある。

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