2019年6月18日(火)

米利上げで試されるFRB議長の手腕

2018/9/28 22:39
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米連邦準備理事会(FRB)が26日、今年3回目の利上げを実施した。今後も緩やかな利上げを続ける方針だが、市場では早くも利上げの打ち止め時期に関心が集まっている。市場の混乱を防ぎながら安定した政策をとれるか、パウエル議長の手腕が問われる。

FRBは今から10年前のリーマン・ブラザーズ破綻に伴う世界金融危機をきっかけに、大規模緩和に動いたが、その後の景気回復を受け、2015年末からは政策金利を段階的に引き上げてきた。

今回の利上げで政策金利は年2.00~2.25%となり、政策発表時の声明から「金融政策のスタンスは引き続き緩和的だ」という文言を削除した。

政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの見通し(中央値)では、利上げ回数は18年は4回、19年は3回、20年は1回、新たに公表した21年はゼロとなった。これを受けて市場では20年には利上げは打ち止めになるという観測が浮上した。

パウエル議長は記者会見で「米経済は力強く、良好な速度で成長している」と述べた。今年2月に就任したパウエル氏は段階的な利上げ路線を継続、市場に大きな混乱はなく、無難な滑り出しだ。

ただ、今後の利上げ局面ではいくつかの心配材料もある。

第1は世界で広がる「貿易戦争」の影響だ。年明け以降、トランプ政権は高関税など制裁措置を相次いで打ち出したが、今のところ米経済に目立った悪影響は出ていない。パウエル議長は「関税政策が長期化して保護主義的な世界になれば、米経済にも悪影響が及ぶ」と警告を発している。

第2の懸念は、トランプ大統領との関係だ。「低金利が好きだ」と公言するトランプ氏は、すでにFRBの利上げ路線に不満を示す発言をしている。利上げを続けていけば、大統領とFRBが決定的に対立する場面がこないとも限らない。

第3の懸念は、新興国など海外への影響だ。米金利が歴史的な低水準の時に、ドル建てで資金調達した新興国や企業は、利上げで債務返済の負担が重くなる。米金利上昇は、ドル高や米市場への資金還流を生みやすい。一方、米国の利上げに打ち止め感が出れば、ドル安への急反転もあり得る。

米金融政策が世界の混乱を招かないように、パウエル議長には適切な市場との対話を求めたい。

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