2019年6月19日(水)

春秋

2018/9/28 1:13
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「5時からは社員総出のボランティア」。ずっと昔の新聞の川柳欄に、こんな作品が載っていた。手当の出ない「サービス残業」の日常化を皮肉った句だろう。働き方改革が叫ばれる昨今でさえ、こういう法律違反を「ボランティア勤務」などと称している職場がある。

▼災害が起きたとき、公共の場に人手が足りぬとき、自発的に駆けつけるボランティアの存在感はいま高まるばかりだ。しかし一方で、この言葉をただ働きの正当化に使うブラック企業もあるから困ったものである。一昨日から募集が始まった東京五輪・パラリンピックのボランティアに、そんな不信を差しはさむ声を聞く。

▼大会ボランティア8万人と都市ボランティア3万人。合わせて11万人を募る。前者の場合は1日原則8時間、計10日間以上活動など条件が厳しいうえ、支給されるのは1日1千円の交通費のみ。だからボランティアなのだろうが、巨額のカネが動く商業イベント化した祭典なのにそこだけ無償とはちぐはぐな感も否めない。

▼やりがいを強調する呼びかけや、動員めいた動きに閉口する向きもある。せっかくの五輪だからちょいと助太刀するか、小遣いの足しにもなるし……。そのくらいのゆるい感覚で集まれるようにできぬものか。と思いつつ大会ボラの応募フォームをのぞいてみたら、その記入方法の複雑なこと。川柳ネタになりそうである。

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