2018年10月22日(月)

アマゾンが変える暮らし スーパーに続き薬も?
奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2018/9/28付
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NIKKEI MJ

2019年までに20%以上の大人が食料雑貨をスマートフォン(スマホ)アプリで注文するようになる――。先日発表されたイーマーケターの調査結果だ。きっかけとなったのは、米アマゾン・ドット・コムによる高級スーパー、米ホールフーズ・マーケットの買収と言えるだろう。買収額137億ドル(約1兆5000億円)。昨年8月の買収から、1年で様々な変化があった。改めて振り返ってみたい。

アマゾンは買収したホールフーズと連携した配達サービスなどを相次ぎ打ち出している=AP

アマゾンは買収したホールフーズと連携した配達サービスなどを相次ぎ打ち出している=AP

最も大きな変化は、会員向けサービス「アマゾンプライムナウ」による即日配達だろう。ホールフーズで販売している生鮮食料品や雑貨をアマゾンプライムナウのアプリ経由で注文できるようになった。しかも配送無料。注文から3時間程度で手元に届く。

食料雑貨の配達自体は以前から存在していた。しかしながら、アマゾンとホールフーズのタッグにより、利用を開始した層も多いのではないだろうか。

筆者も月2~3回のペースでアマゾンプライムナウを利用している。自分がよく知っているスーパーであるホールフーズから届くので、安心感があり、かつ商品を選びやすい。アマゾンのアプリなので使い勝手がよく、明朗会計だ。

先日アマゾンは配達だけでなく、ホールフーズの駐車場で注文した商品を受け取れるサービスも始めた。例えば帰宅中にスマホで注文すれば、ホールフーズの駐車場に立ち寄るだけで商品を受け取れる。

変化は他にもある。高級スーパーというイメージが非常に強かったホールフーズの一部商品の値下げ、ホールフーズ店舗でのアマゾンエコーなどのIT(情報技術)機器販売、ロッカーの設置……。わずか1年で数多くの取り組みを実現してしまうのは、さすがアマゾンといえよう。

とはいえ、ホールフーズ自体は全米シェアの1.2%にすぎない。ホールフーズとアマゾンのコンビだけでは、大人の20%がアプリ注文に移行することはないだろう。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

この買収により他のスーパーの追随が加速しているのである。昨年8月以降、ウォルマートやクロガーなどによるベンチャー企業の買収、提携のニュースが相次いでいる。

ウォルマートは以前からベンチャー企業との提携に積極的だ。ホールフーズ買収発表後、クロガーはデリバリーサービスのインスタカートとの提携を発表した。クロガーとの提携により、インスタカートにクロガー系列の1600店が加わった。全米70%の地域の家庭でインスタカートを使った食料雑貨デリバリーを利用できる。

米国はスーパーの商品の一つ一つが非常に大きく、車での買い物が前提となっている。日本ほどコンビニエンスストアが普及していない。こうした背景の違いもあり、確かに米国では一気に食料品や雑貨の配達が加速しそうだ。

アマゾンによりスーパー業界がこの1年で大きく変化した。そしてアマゾンはオンライン薬局のピルパックを買収している。我々の薬を取り巻く環境も大きく変わっていくのだろう。

[日経MJ2018年9月28日付]

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