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ゲノム編集の安全規制丁寧に

厚生労働省の調査会は、ゲノム編集という新しい遺伝子改変技術を使った食品の安全規制の検討を始めた。新技術に産業界の期待は高いが実用化を不安視する声もある。生態系への影響の問題とあわせ、科学的知見に基づく丁寧な議論とわかりやすい説明が必要だ。

ゲノム編集は遺伝子の切り貼りが正確かつ容易にでき、従来の遺伝子組み換えに比べて品種改良が格段にしやすい。

日本では肉付きのよいマダイ、収量の多いイネなどが開発されている。海外の種子メーカーはゲノム編集農作物の商品化を急いでおり、数年内に実現しそうだ。

ただ、ゲノム編集は狙った部分以外の遺伝子に予期せぬ変化をもたらす場合があるなど、未知の部分もある。このため、各国が生態系への影響と食品安全性の両面から規制を検討している。

日本も後れをとらず検討を始めたのはよいが、結論を急ぎ議論が不十分になってはいけない。

環境省は8月に2回、委員会を開き、生物多様性に関する「カルタヘナ法」のもとでゲノム編集をどう規制するか案をまとめた。厚生労働省も食品衛生法における扱いについて、2カ月程度で調査会の議論を終える予定だ。

環境省案では、もとの動植物が本来持たない外部遺伝子が入る場合、遺伝子組み換えと同様の承認手続きを義務付ける。一方、自然界の突然変異のように、既存遺伝子の機能を一部失わせただけなら規制しない。

厚労省の規制も似た内容を検討中だが、外部遺伝子が入らなければ食品として安全と言い切れるかは専門家の見解が分かれる。ゲノム編集で、意図せざる有害物質が生じるのを懸念する声もある。

消費者が不信を抱かないよう、関係省庁は公開シンポジウムを開くなどして、規制をめぐる疑問に丁寧に答えるとよいだろう。

あわせて、ゲノム編集をした動植物をデータベース化し、異常が発生したらすぐに開発や栽培の履歴を追えるようにすべきだ。

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