2019年6月18日(火)

災害時は外国人にもきめ細かい情報を

2018/9/24 23:08
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日本で大規模な地震などが起きたとき、外国人向けの情報提供は十分か。この夏、北海道と関西を襲った災害で、この課題が改めて浮き彫りとなった。旅行者、住民、留学生や従業員など、身近な場で外国人が今後も増える。きめ細かい情報発信が求められる。

自治体の防災無線やニュースの字幕など、緊急時の災害情報は主に日本語で提供されている。外国人の多くは地震や津波の知識も乏しい。震度の数字や地名だけでは災害の全体像は理解しづらく、不安やデマを生みかねない。

欲しい情報も、旅行者の場合は帰国の手段や宿泊できる施設など、地元の住民とはやや異なる。従来の災害情報の提供とは手段も中身も発想を変える必要がある。

観光庁が東日本大震災を体験した外国人に聞いたところ、日本国内のサイトより母国のメディアや交流サイト(SNS)をあてにしていたことがわかった。日本の出先機関が各国で積極的に正確な情報を流すのも手だろう。

また、交通情報や翻訳をスマートフォン(スマホ)に頼る旅行者は多い。しかしこの夏の災害では停電でスマホの使用が難しくなり、混乱が加速した。緊急時には当面必要な情報をネット以外で得られる仕組みも整えたい。

自治体国際化協会はゴミ出しやトイレ、充電、医療などに関する注意書きを各国の言語で印刷できる「災害時多言語情報作成ツール」をネットで公開している。避難所の開設者や民泊事業者などは、あらかじめ印刷、準備しておけば無用の混乱を回避できる。

海外の生活習慣や宗教について詳しく、日本と外国人をつないでくれる人材の育成も重要だ。ふだん国際交流を手がけるNPOに、非常時の協力を頼む手もある。

大阪府が将来の震災に備え開催中の「南海トラフ地震対応強化策検討委員会」の中間報告書をみると、留学生や技能実習生を災害対応の担い手とし、避難所に派遣し通訳してもらう仕組みづくりを提言している。参考にしたい。

政府は災害の可能性や非常時の心得を、各国・地域で事前にきちんと伝えたい。目先の旅行者数を増やすことよりも信頼を構築する方が、長い目で見れば大事だ。

大きな災害が起きれば、誰もが余裕を失う。そうした中でも、外国人という「情報の弱者」がすぐ身近に大勢いることを、一人ひとりが思い起こすようにしたい。

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