2019年7月18日(木)

大西氏が挑む地域活性化 日本のモノ 攻めの目利き
先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

コラム(ビジネス)
2018/9/24付
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NIKKEI MJ

「最後に百貨店で買い物をしたのはいつだろうか?」。筆者にとって、遠い記憶のような気がする。2年前に伊勢丹新宿本店(東京・新宿)でコートを買ったのが最後だ。昨年、三越伊勢丹ホールディングスを去り、この夏から羽田未来総合研究所(以下羽田総研)の代表取締役に就任した大西洋氏が動き出した。9月14日、三越日本橋本店(東京・中央)からほど近い家具店「匠大塚」に早速取材に向かった。

大西氏(写真中央)が出演する「ニッポンの未来百貨店」の収録現場

大西氏(写真中央)が出演する「ニッポンの未来百貨店」の収録現場

何台ものテレビカメラと照明の先に大西氏の姿を見つけた。それが「ニッポンの未来百貨店」というBSジャパンのトーク番組だ。

大西氏は日本の知られざるいいものを自ら紹介し、開発者と語り合う番組の案内役に抜てきされた。共演は、ドラマ「陸王」や、ビズリーチのCMでおなじみ、女優の吉谷彩子さん。

当日は「ポータークラシック ニュートンシリーズ」というバッグを紹介していた。ゲストにはポータークラシック代表の吉田玲雄氏。大西氏、さすが百貨店歴が長いだけあり、モノの本質をつかみ、説明するのがうまい。バイヤーの顔をしているような気もする。

「何にこだわっているのか? まずは、やはり手作りや独自性、ユニークなモノを紹介してゆきます。限定性も大切です。メード・イン・ジャパンや、地域活性化も重視していきます」と大西氏。例えば、今回のポータークラシックは、"刺し子"という、日本の伝統技術にファッション性や、経営者のマインドなども加味して選んだという。

番組で紹介した商品は通販もするが、単純な紹介ではなく、長年自分が愛してきたものへのこだわりが伝わる。これは羽田総研のコンセプトにも似ている。年間旅客数が8000万人という羽田空港で日本の文化やモノを伝えていこうという試みだ。

なぜ、今回、大西氏に依頼したのだろうか? テレビ東京ダイレクトはすでに越境ECで中国進出を果たしており、中国全土向けに動画を使った通販事業を展開している。そこでもメード・イン・ジャパンにこだわり、それを中国の人々に伝えてゆこうと必死である。一方、羽田総研は地方のモノづくりや創生を羽田という空の玄関口で行いたい。日本のいいものを世界に伝えたいという大西氏の思いと一致したのだろう。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

「素材や作り手の想い、日本の伝統的な技術、職人技など絶対的な価値のあるものを、しっかりと目利きしていきたい」と大西氏の思いは更に膨らむ。筆者は、伊勢丹時代の大西氏も知っているが、守りから攻めに転じたことを肌で感じる。

今後は、北陸地方で作られる世界で最も薄い織物で作られたスカーフのほか、畳職人の青柳健太郎氏の畳を使ったユニークな逸品、馬具メーカーのステーショナリーなどの紹介を考えているという。

初回の放送は10月6日。百貨店は一等地にあるだけでは、消費者のニーズをつかめないのかもしれない。未来の百貨店は、テレビやインターネットを駆使した全く別物かもしれない。

今回の大西氏のチャレンジが単なるトーク番組の案内役の枠で終わるか? それとも未来の百貨店に一石を投じるものになるのか? 今後が楽しみだ。

[日経MJ2018年9月24日付]

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