2019年5月26日(日)

独立増えるデジタルマーケッター 日本企業、人材持ち腐れ?
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

コラム(ビジネス)
2018/9/21付
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NIKKEI MJ

世界11カ国1440人の経営幹部を対象にした調査を発表した米アバナード社とデンマークのサイトコア社が開いた、メディア向け情報懇親会に参加した。「マーケティングテクノロジー(マーテク)が収益増に貢献すると認識されながらも、最高情報責任者(CIO)と最高マーケティング責任者(CMO)間の連携不足が優れた顧客体験づくりを妨げている」との調査結果が総括された。

世界的にデジタルテクノロジーへの関心が高まっている=ロイター

世界的にデジタルテクノロジーへの関心が高まっている=ロイター

「マーケティング、IT(情報技術)、デジタルの担当者間での連携不足が、優れたカスタマーエクスペリエンスの提供を阻害している」。参加者の口から何度か出た言葉として印象的だったのが、「特に日本ではマーテクを、コストカットのツールとして見ることはできても、付加価値を創造するツールとして見られていない。お客様の満足度を最大価値にするために利用する視点が必要なのに」という、宝の持ち腐れ感だった。

日本企業の組織についてなんとなく思っていた疑問と、今回の調査資料や懇親会での議論が符合した。

実はこの何年か、デジタルマーケティング分野の人材が独立するケースが非常に増えている。有能なデジタル人材が引っ張りだこということもあり、独立したほうが経済的にも有利ということもあるだろう。一方でデジタルもマーケティングも分かる人材が、会社の本流を歩けていないということも、あるのではないだろうか?

「僕はデジタル全然わからないんだよね」。仕事でお付き合いのある企業の経営者や幹部から、こうした言葉を聞くことがある。「だからデジタル分かる人を尊敬する」という文脈で語る人と、「本流しか経験していないからね」という自慢の文脈で語る人に大きく分かれる。比較的後者が目立つ気もする。ITを分からないことを無意識に自慢するような風土は、今後の企業のあり方として理想的とは思えない。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

実は、人事部や企画部といった管理部門こそ、最新のITについて勉強が必要なのかもしれない。管理部門がきちんとデジタルやIT、マーケティングの潮流について、理解をしていなければ、正当に評価されずに人材がこぼれ落ちてしまうからだ。

例えば優秀なデジタルマーケッターが、セミナーの講師にと依頼を受けたが、管理部門からストップがかかったというような話も、たまに聞く。情報が流出することや、売り手市場のために、スピーカーがヘッドハンティングされるというようなこともあることからの警戒だろうが、優秀なスピーカーはリクルーティングの手段にもなりうる。

優秀な人材の流動化は、喜ばしいことでもある。しかし、きちんと企業内で評価されないために起こる不幸な流動化は避けるべきである。

そして、デジタルマーケッターたちが次々に企業の中枢を担うようにと、知人たちの顔を浮かべて祈るような気持ちにもなる。

[日経MJ2018年9月21日付]

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