2019年7月23日(火)

医療界に働き方改革を迫る不正入試問題

2018/9/16 23:05
保存
共有
印刷
その他

病院の勤務医は診療所の開業医より労働実態がきついと感じている医療関係者は少なくない。医師の業務の一部を看護師や薬剤師などに移す働き方改革に、医療界を挙げて取り組むときだ。

東京医科大学が受験生の入学試験成績を長年にわたって操作し、女性と多浪生の合格を抑制していた問題も、働き方改革の必要性を浮かび上がらせた。

女性の医師について、大学側は「結婚・出産を機に長時間労働を避けるようになる傾向が強い」実情を得点操作の理由のひとつに挙げた。不正入試は言語道断だが、長時間の勤務や宿直は敬遠したいという女医がいるのは事実だ。

厚生労働省の2016年調査結果によると、医師総数に占める女性の比率は21%。診療科別にみると、女性比率が高いのは皮膚科、麻酔科、眼科など。低いのは整形外科、脳神経外科、外科など外科系に集中している。

これを、女性の視点で少しでも働きやすい診療科を選んだ結果とみなすことが可能ではないか。診療科ごとの繁閑を考慮し、その選択段階で働き方改革を自ら実践しているという仮説である。

診療科の男女偏在をやわらげるためにも、とくに繁忙な診療科を中心に、病院の経営層が主体になって必ずしも医師がしなくてよい院内業務をほかの医療職に委ねる改革を推し進めてほしい。

同時に、移管を受けた側の労働を過重にさせない工夫を考えねばなるまい。特定の診療行為について、医師の指示を受けて業務を補助する資格を持つ看護師の養成を増やすのは、その一助になろう。

英米には医師の指示なしに初期診療にあたる上級看護師の制度がある。同じような制度を日本が取り入れられるか、多面的な観点から探るのは厚労省の責務である。

医師が働きすぎる結果、不利益を被る心配があるのは患者だ。患者の側も、なんでも医師が診るのが望ましいという思い込みにとらわれない姿勢が大切だろう。

このように、医療界の働き方改革は医師養成課程のあり方と密接にからむ。受験生の間では、東京医大のほかにも男性が受かりやすいと評判の大学医学部がある。

公正な競争の場を受験生に提供するために、文部科学省は全国の医学部の実態を念入りに調べる必要がある。入試成績が高い順に男女合格者の分布を公表するなど、意味ある調査が重要になろう。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。