2018年11月14日(水)

春秋

2018/9/15 1:09
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「100円でポテトチップスは買えますが……」。かつてテレビCMで女性タレントが訴えていた。こう続く。「ポテトチップスで100円は買えません」。短いフレーズだが、物の価値を計り、全ての商品と交換できるお金の特殊な性質を言い当てていたように思う。

▼こんな魔性のごとき魅力ゆえ、拝金主義や度を越えた強欲な振る舞いが歴史に絶えないのかもしれない。100年に1度とされた「リーマン・ショック」から10年を経た。本紙で当事者らの回顧を読むと「過剰なレバレッジに走ってしまった」とか「避けられたはずだ」などと、警戒心が欠けていたことへの反省が目立つ。

▼加えて「形を変え必ず再来する」と言明する識者もいてギクッとする。金融は経済の血流だという。人間の体と同じく、日々の活動に潜む変調とか悪習の積み重ねが、よどみや滞留の原因になるというなら、一種の生活習慣病に例えられようか。システムそのものより、マネジメントする我々の心がけが課題なのであろう。

▼「金とともにある時、私は不老不死だ」。映画「マルサの女2」で脱税容疑の男が叫んでいた。ショック前、ウォール街の腕っこきも、こんな万能感に浸っていたか。ポテチどころか、買えない物はないといった威勢だったかもしれない。だが、歴史が証した。危機を防ぐ処方箋はどこにも売っていないということである。

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