2018年9月22日(土)

マグロ保護の徹底が優先だ

社説
2018/9/15付
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 中西部太平洋でマグロ類などの資源を管理する国際機関(WCPFC)が福岡で会合を開いた。日本は2014年に決まったクロマグロの漁獲上限を15%拡大する案を提出したが、米国などが反対し合意できなかった。

 太平洋にすむクロマグロには資源回復の傾向が見える。10年に約1万2千トンまで激減した親魚の量は直近16年時点の科学調査で約2万千トンまで増えた。24年に約4万3千トンまで回復させるというWCPFCの中間目標を達成する確率は98%に高まったという。日本が増枠を提案した理由だ。

 ただ、絶滅危惧種にも指定されている太平洋クロマグロの資源は回復の緒に就いたばかりだ。直近の推定資源量も、34年に約13万トンまで増やすWCPFCの長期目標に比べれば6分の1にとどまる。科学調査による資源評価も、依然として「減りすぎ」「とりすぎ」であることを示している。

 資源保護を重視する米国などが漁獲規制の緩和は時期尚早と反対したのも、当然といえる。

 まずは国際ルールである漁獲規制を、国内でもきちんと守ることが優先だ。科学調査でより明確な回復結果を得て、改めて米国などを説得してもらいたい。

 地中海・大西洋域と比べ、太平洋域のクロマグロ管理は厳格さに欠ける。ルール違反を防ぐため、議論の始まった漁獲証明書の制度を早期に実施すべきだ。

 政府が漁獲枠の拡大を急いだ背景には国内漁業者の不満がある。今年からはクロマグロも罰則を伴う法的な漁獲可能量(TAC)制度の対象となり、一本釣り漁業などを手掛ける沿岸漁業者にも規制がかけられたからだ。

 沿岸漁業者への影響を少しでも減らすために日本の枠をうまく配分する工夫は要る。しかし、小規模な漁業者といえども「目の前にいる魚はとり放題」という時代ではない。漁獲規制を守り資源保護を徹底してこそ、水産業の持続可能性を高められる。そのことを漁業者も考えてほしい。

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