2018年11月14日(水)

プーチン提案に惑わされるな

2018/9/14 0:01
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ロシアのプーチン大統領が極東のウラジオストクで開催した国際会議で、日ロ平和条約を前提条件を設けずに今年末までに締結することを提案した。これは北方四島の帰属問題の解決の先送りを意味する。日本の立場を無視したもので受け入れられない。

そもそも、平和条約と領土問題の解決は一体のものだ。2001年にプーチン氏と森喜朗首相(当時)が署名したイルクーツク声明には「四島の帰属問題を解決することで平和条約を締結する」と明記してある。

安倍晋三首相もプーチン氏の発言直前に、四島での共同経済活動が日ロの理解を深め、それが領土問題を解決し平和条約締結の力になると発言した。両国はその流れに沿って交渉してきたはずだ。

プーチン氏は「新しいアプローチ」として提案し、平和条約締結後に「友人として意見の隔たりがあるすべての問題を解決しよう」と語った。だが、領土問題解決の保証がないにもかかわらず一足飛びに平和条約を結ぼうという提案はロシアだけを利する内容だ。

提案を受けて首相は「(平和条約締結は)両国民の理解が進み、環境が整備されることが必要」と発言した。冷静な対応といえる。

一方で、プーチン氏の真意を見極めねばならない。それが領土問題の棚上げに主眼を置いているのであれば、日本は共同経済活動など経済協力の是非についても検討せざるを得ないだろう。

欧米と対立するロシアにとって、アジアへ軸足を移すことは戦略的に優先的な課題だ。ロシアは中国と蜜月関係といわれるが、すでに経済的には中国依存が強まり警戒感が出ている。中国をけん制する意味で、日本との関係を重視したい思惑があるともいわれる。

プーチン氏の提案が習近平国家主席も同席する会議で行われたことは留意する必要がある。

日本は国際社会でのロシアの立ち位置を冷静に分析し、交渉にのぞむことが肝要だ。プーチン氏の提案に惑わされてはならない。

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