2018年9月20日(木)

春秋

春秋
2018/9/12付
保存
共有
印刷
その他

 先日、東西の本願寺が決戦の場に臨んだ。と言っても物騒な話ではない。毎年行われる自衛消防隊の訓練大会である。ともに、日本最大級の伝統仏教教団の本山。JR京都駅の近くに広大な境内を持ち、壮麗かつ伝統ある建造物を誇る。難敵の火災を防ぐ技を競うのだ。

▼大会には百貨店や病院も参加し、消防署員らの前で、消火器や消火栓を扱う手順や正確さを試す。中でも、毎分1千リットルを放水する小型ポンプの部門は両寺が毎年、直接対決してきた。隊員らは平時、寺院への支援などを仕事としている。50メートルものホースを巧みにさばき、号令も勇ましく銀の放物線を描く姿に拍手がわいた。

▼厳しい訓練を続けられるのは火災の怖さが伝承され、隊員の自覚も深いからだろう。西本願寺は2つのお堂はじめ国宝が多いし、東本願寺は幕末の禁門の変による大火で焼失している。琵琶湖からの水路を活用し、自前で消火用の水道を引いたほどだ。「備え」に甘さや油断は禁物、と退場する背中が語っている気がした。

▼酷暑に水害、地震と、列島に生きる過酷な宿命と向き合わざるを得なかった夏だった。犠牲者の数に言葉を失う。住まいや職場を守り、暮らしやビジネスを滞らせぬため、事前準備の必要性が身に迫る。隊員らのように精進を重ねる時間はとれないけれど、過去に学び、行動に反映させる意欲も大切な備えとなるであろう。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報