2018年11月17日(土)

春秋

2018/9/8 1:28
保存
共有
印刷
その他

自民党の総裁選をめぐる名言・迷言は数々ある。極め付きは「天の声にも変な声がたまにはある」ではなかろうか。1978年の総裁選で勝利を確信していた現職首相の福田赳夫さんが、予備選で大敗し発した言葉だ。天は民意や世論、という意味合いだったのだろう。

▼その自民党総裁選がきのう、告示された。だが演説会や記者会見は延期され、一時休戦の状態である。北海道を襲った最大震度7の地震は発生から3日目を迎えた。この先3年間の、国の舵(かじ)取り役を選ぶための論戦はもちろん重要だが、引き続き政府一体となって不明者の捜索や被災者の支援に全力であたってもらいたい。

▼東日本大震災が起こった直後の2011年3月。宮城県気仙沼市の階上(はしかみ)中学校の卒業式で、男子生徒が読み上げた答辞が感動を呼んだ。ここにも「天」の言葉がある。「苦境にあっても天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていくことが、これからの私たちの使命です」。悲しみの中で前に進む強い思いが感じられた。

▼地震も噴火も暴風雨も、地球にとってみれば地表でたまたま起きる小さな変化にすぎないのだ。それが大災害となって牙をむく。人間が抗(あらが)えない大きな力が天だとするなら、なんと無慈悲で理不尽なものなのか。そのたびに私たちは立ち尽くし、嘆き悲しむしかない。いたわり合い支え合う力だけが、希望を与えてくれる。

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報