2018年11月14日(水)

フードテック、世界700兆円市場 欧米発の動き、日本にも
先読みウェブワールド (山田剛良氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2018/9/9付
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NIKKEI MJ

テクノロジーは既存のサービスや製品のありようを大きく変えてきた。「XTECH(クロステック)」と呼ばれる動きの次のターゲットは「食」。食事に関わるサービスをテクノロジーの力で大きく変えようという欧米発のフードテックが、日本に及びつつある。

シグマクシスの「スマートキッチン・サミット・ジャパン2018」は多くの来場者でにぎわった

シグマクシスの「スマートキッチン・サミット・ジャパン2018」は多くの来場者でにぎわった

「会場はものすごい熱気で、盛り上がりは期待以上だった」。興奮気味に話すのは、コンサルティング会社、シグマクシスの田中宏隆ディレクターだ。

シグマクシスは8月8~9日に「食&料理×テクノロジー」をテーマにした「スマートキッチン・サミット・ジャパン2018」を都内で開催した。今年で2回目だが、前回の2倍以上の42セッション、46人の講演者を用意。食品や家電メーカー、流通、飲食、住宅インフラなど様々な業界から前回比で4割増の300人以上を集めた。

内容は多岐にわたった。スマートフォン(スマホ)と連動して火加減を自動調整するIHクッキングヒーターといったスマート調理家電や、調理家電にネット経由でレシピを提供するサービス、培養肉などの代替食材、腸内フローラや遺伝子情報を調べて食生活を改善するサービスなどなど。多様で雑多な内容こそが、フードテックの現状を物語る。

田中氏によると、フードテックには主に米国のハイテク企業発のテクノロジー主導型と、欧州発の社会課題解決型の2つの大きな流れがあるという。

米国発のテクノロジー主導型はデジタル化されたレシピや調理技術の科学的な分析を基に、調理家電とネットサービスを組み合わせれば、レストラン並みの高度な料理が自宅で手軽に作れるといった考えが軸となっている。著名シェフとエンジニアが組み、専用の低温調理器とレシピのネットサービスを組み合わせる米シェフステップスなどが典型例だ。

欧州発の流れは食品廃棄や食用肉生産の環境負荷の高さ、健康維持といった社会課題をテクノロジーの力で解決するという考え方が基になっている。食用肉より健康的な植物肉・人工肉を提供する米国企業のインポッシブル・フーズやビヨンド・ミートなどの事業がその例だ。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

欧米では2015年ごろから、食のベンチャー企業に「ベンチャーキャピタルの投資資金が急速に流れ込み始めた」(田中氏)。これが現在のフードテック隆盛を生み出した。

今回のスマートキッチン・サミットでは国内企業も存在感を見せた。レシピ情報サイトのクックパッドはスマートキッチンの方向性と目標を定義した「スマートキッチンレベル」を発表した。ショートプレゼンセッションでは、パナソニックJR東日本、若手官僚などが飛び入り参加し、準備中のサービスなどをアピールしたという。

田中氏は「食にはさまざまな課題があり人類全てが関連する。市場規模は全世界で700兆円以上」と指摘。「最終的には食の在り方自体を変え、食品製造や小売り、レストランなども大きく変革するはず」とも語る。

国内でのフードテックはまだクックパッドなどのネット企業、家電メーカーと一部のベンチャーが目立つ程度。盛り上がりはこれからだが、要注目の動きと言えそうだ。

[日経MJ2018年9月9日付]

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