2018年9月19日(水)

春秋

春秋
2018/9/6付
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 てんか。1585年、関白となった秀吉は以降、手紙にこう自署したという。乱世をほぼ平定、天皇から国の支配を任されたとの自負がにじむ。しかし、この後の高慢は史書や小説が示す通りだ。野上弥生子「秀吉と利休」はささいな言葉が側近に災いした経緯を描く。

▼「唐御陣(からごじん)は明智討ちのようにはいくまい」。朝鮮半島への出兵を危ぶむ利休の感想である。漏れ聞いた秀吉は呼びつけて、ただした。「おれを、それほど非力と見ているのだな」。目玉として打ち出した国策への不安とひけめの分、怒りも激しい。「面も見たくない」。権力の座をつかんだ者のおごりがあらわなひと幕だ。

▼自民党総裁選があす告示される。安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちの様相で、8日は討論会も予定されている。現状では、安倍陣営の優位は揺るぎそうにない。先日、5派閥合同で選挙対策本部が発足したと報じられた。圧勝ムードの中、政策論争より内向きの忠義立てや猟官が目立ってしまうようではさびしい。

▼「3年で雇用と社会保障の改革を進める」。安倍首相は本紙に述べた。これまで放った矢の行方も見えませぬ、とお友達なら諭してもよさそうだが、党内にものを言えない空気が漂っているのだろうか。同調圧力ならば闊達な議論のため除かねばなるまい。来秋の首相在職日数の最長記録がレガシーでは困るのだ。いちい。

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