2018年11月14日(水)

自覚なきブラック上司
Smart Times インディゴブルー会長 柴田励司氏

コラム(ビジネス)
2018/9/5付
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「もしかしてブラック上司?」という書籍を4月に上梓(じょうし)した。暴言罵倒する、残業を強いる。こうした人格否定的な「ブラック行動」について書いたものではない。ある意味、より深刻な「当人に全く自覚がない」ブラック行動がテーマだ。自分の常識からすると当たり前の行動で、むしろ良かれと思ってやっているのに、部下にブラックと思われてしまう。そのような言動をしていないか、チェック本としてまとめてみた。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

部下にしてみると人格否定の次に困るのが自分の時間を奪われることだ。メールはその代表格である。処理が遅い上司はブラック資質ありで、部下の仕事のタイミングも遅延する。深夜休日にまとめて返信するのはブラック確定だ。

隙間の時間を利用して、携帯端末からどんどん処理すべし。返信が遅れそうな場合には「×日までに返事する」と返すべし。長いメールが来たら、メールで返さず電話をすべし。深夜、休日に返信を書いた場合には(緊急時を除き)下書きフォルダに入れておき、翌朝に送信すべし。

決めるべき時に決めない上司もブラックだ。部下からするとGOなのか、NOなのか分からず、無駄な作業と時間が積みあがる。禅問答のようなやりとりをしつつ鍛えるというやり方は、生産性という観点からは好ましくない。

部下のスケジュールが公開されているにもかかわらず、それを見ることなく呼びつけたり、仕事の依頼をしたりする。これもブラックだ。部下の行動や負荷を把握していない上に、部下の時間は自分のものという意識がある。自分のスケジュールを公開しない上司もブラックだ。下からすると、いつどこで上司に相談したらよいかわからない。

上司が意識して行動するだけでかなり変わるのだが、このことに気づいていない管理職が多い。働き方改革は時間制限では解決しない。仕事のやり方を変えないとむしろ悪化する。

ブラック上司の存在率は業界別に異なるように思う。特に管理職層で業界を超えた流動性が低い業界で存在率が高い。私の出身元のホテル業界はその一つで、人材投資が著しく低い。業界の私的教育機関である宿屋大学の近藤寛和代表によると、教育訓練費が一人当たり年間1万円というホテルも珍しくないという。中には、スキルをつけると他社に転身してしまうから能力開発しないと発言する経営者もいるとのことだ。

私がホテル業界にいた三十数年前と変わらない。これではいい人材は集まらない。原因は他業界からの人材流入がないからだ。世の中の変化を自分事として受け入れていない経営層、管理職層が多くなる。いきおいやり方が変わらない。警鐘を鳴らしたい。人が集まらない企業は事業継続ができなくなる。深刻な問題だと捉えた方がいい。

[日経産業新聞2018年9月5日付]

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