2018年9月24日(月)

春秋

春秋
2018/9/3付
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 曲線が印象的なガラスの大屋根、吹き抜けのパティオ、それを取り囲むレストランや量販店……。パリ1区、つまり花の都の真ん中に鎮座するショッピングセンター「フォーラム・デ・アール」は、およそパリらしからぬピカピカの遊び場だ。訪れてちょっと当惑した。

▼この場所には1960年代末まで、中世以来の中央市場(レ・アール)があった。それが邪魔者扱いされ郊外に移り、跡地にショッピング街ができたのが79年だったという。ところが使い勝手が悪い、ダサいなどと不評で、最近になってやっと再々開発が終わった。こういう経緯を知ると、われらが築地の将来も気になる。

▼すったもんだで延びていた豊洲への市場移転まで1カ月余。来月6日限りで築地は役割を終え、銀座のとなりに広大な空き地ができる。とりあえず東京五輪・パラリンピックの輸送拠点として使われるそうだが、将来、跡地をどうするかは未定のままだ。事態を複雑にしてきた小池百合子知事に何か妙手はあるのだろうか。

▼かつて文豪ゾラは、食べ物があふれるレ・アールの匂いに魅せられて「パリの胃袋」を書いた。いまその跡地に人々は行きかい、ファストフード店など大いにはやっているが「胃袋」の濃密な空気とは縁遠い。23ヘクタールもの、築地の空白の行方はさて――。何事も欧米を手本にしたがる日本だが、ここは反面教師にしてもいい。

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