2018年9月23日(日)

デザインの意義を捉え直し経営に生かせ

社説
2018/9/1付
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 特許庁がデザインを保護する意匠法の改正案をまとめた。ウェブ画面といったモノ以外も対象に含めるなど、保護の範囲を広げる。企業はデザインの意義を捉え直し、経営に生かすときだ。

 改正案の柱は3つある。ひとつは、壁などに投影されるデジタル画像や空間のデザインなどへの対象の拡大。次に、保護期間の延長だ。現行の20年を25年に延ばす。そして複数のデザインを同時出願できるようにすることだ。

 ネット時代における消費の構造変化を考えれば、特許庁が意匠法を見直すのは当を得た措置だろう。企業にとって、ネットが消費者との最初の接点となる場面が増えている。画面の見やすさや操作のしやすさが製品の売れ行きやサービスの利用を左右する。

 保護の期間は最も進んでいる欧州と同じになる。複数の案件を束ねて出願できれば手続きの時間や経済的負担を軽減できる。デザインを経営資源として活用する企業の取り組みを後押ししよう。

 ただし、今回の改正を製品やサービスのイノベーションにつなげられるかどうかは、企業の意識改革と実行力にかかっている。

 デザインとは単に製品の見栄えを良くするだけでなく、消費者の需要をユーザー目線で見極め、追求していく営みである。

 特許庁の調べでは、デザインを重視する米企業の株価はこの10年間で、S&P500種株価指数の銘柄全体と比べ2倍以上成長したという。日本の経営者も、デザインは経営に欠かせない要素であるとの認識を深めることが大切だ。

 そのためにはまず、経営陣にデザイン部門の責任者を加えてはどうか。事業を新たに立ち上げる段階からデザイン重視の視点を持つことが重要だ。米アップルは著名デザイナーが役員の一角を占めている。英ダイソンは創業者自身がデザイナーである。

 経営感覚を持つデザイナーの育成も求められる。東京大学は企業とラボを設けて、デザインと技術の両方がわかる人材を育て始めた。広島市立大学とマツダが共同で開いたゼミのように芸術系学部に、ものづくりを学ぶ課程があってもいい。

 1980年代に盛んだった意匠の出願件数は、90年代以降は伸び悩んでいる。訪日客の需要を除けば総じて低迷している消費市場を盛り上げるためにも、デザインに力点を置いた経営が欠かせない。

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