2018年11月19日(月)

新旧モザイク 化ける通り 狸小路商店街(札幌市)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
北海道・東北
2018/9/3付
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NIKKEI MJ

札幌市中心部にある「狸小路商店街」は今年で誕生145年を迎える。東西に伸びる約900メートルのほとんどが雪でも買い物しやすいアーケードで覆われ、200店以上がひしめき合う。昔ながらの個人商店と訪日客を狙った真新しい店とが同居する不思議な空間に変わってきた。

商店街では刃物専門店などが訪日客に人気だ

商店街では刃物専門店などが訪日客に人気だ

制服や仏具、理容など古くからある個人商店が軒を連ねる。その合間に地場のドラッグストアであるサツドラが白く明るい免税品売り場をいくつも構え、ドン・キホーテもぎゅうぎゅう詰めの店内に訪日客向けの品を並べる。抹茶のスイーツ店やカニを使ったファストフード店など、明らかに地元客向けではない新店も目立ちだした。

ドラッグストアなどは日本人が入るのをためらうほど、アジアからの観光客でにぎわう。訪日客シフトが進む商店街。ところが意外にも、明治や昭和初期から地元に根ざす老舗が関心を集めるようになってきた。

そのひとつが刃物専門店の宮文。繁忙期には通りに面した作業台で包丁研ぎを見せる。「日本の包丁は質が良いと聞いて、買い求める訪日客も多い」と武田尚人部長。インスタグラムなどSNS(交流サイト)の投稿を見て来る客も目立ち、PRも兼ねて店内は自由に撮影してもらっている。「支付宝(アリペイ)」などの電子決済サービスや英語表記も整備し、買い物しやすいよう配慮した。

札幌狸小路商店街振興組合の三角明事務局長は「茶器や日本茶の店など日本らしいものを販売する店に外国人が足を止める姿を見る」という。必ずしも札幌とは関係ないが、古い店の日本らしさが魅力になる。それだけではない。衣料品販売の丸藤はブランド物のポロシャツに「made in Japan」と説明を付け安価で販売すると、中国人観光客が多く買い求めるようになった。

時代に合わせ柔軟に変化する一方で、防犯ボランティアや警備員が見回り強引な客引きは追放するなど、快適に買い物ができる環境作りにも余念がない。振興組合の島口義弘“狸"事長(みやげ店のたぬきや社長)は「努力しないといい商店街にはならない。店は時代に合わせていいが、商店街全体は時代に振り回されないことが大事」と考える。

商店街の地図では今年、電話番号の代わりに店名を英語で記した。幅広い客を迎えようと細かい地道な取り組みを続けている。

(札幌支社 光井友理)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2018年9月3日付]

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