2018年11月19日(月)

メガバンクの熱心な支援
SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

コラム(ビジネス)
2018/9/3付
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これまで金融機関の中で新規株式公開(IPO)を目指すベンチャー企業の支援に熱心だったのは、ベンチャーキャピタル(VC)、証券会社、監査法人、証券代行業務を行う信託銀行などが中心であった。しかし、近年は銀行が融資業務以外での収益獲得を目指し、ベンチャー企業のIPO支援を活性化させている。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

金融機関にとって、IPOは、幹事証券会社の引受手数料だけが目的ではない。IPO後、その企業の信用力が強化され急速に変化していくプロセスにおいて、シンジケートローン、M&A(合併・買収)、株式市場でのファイナンスなど、数多くの収益獲得機会につながるものだ。さらに、新規上場企業の中から、将来、大きく成長する企業の出現も期待される。

特にメガバンクと証券会社が連携してベンチャー企業支援を行うことができる三井住友フィナンシャルグループみずほフィナンシャルグループの体制強化がめざましい。

三井住友は09年に日興証券を傘下としたものの、IPO支援での連携は限定的であった。だが、17年4月から「成長事業開発部」を設置し、SMBC日興証券のIPO担当部門との連携を強化させつつ、ベンチャー企業向けの投融資の推進・IPO支援等を急速に活性化させている。

みずほは13年から「ワンみずほ戦略」として、銀行・信託銀行・証券会社が連携して金融サービスを提供できる体制と人事評価システムを構築し始めた。さらに、16年4月には「イノベーション企業支援部」を設置し、IPOを目指すベンチャー企業支援の推進体制を強化している。

両行ともに提携先候補の紹介、取引開始が困難な顧客候補のキーパーソンの紹介など、普通なら多額のコストを要する業務を無償で提供してくれる。

昨今、VCなどから多額の出資を受けて、積極的に投資を行い、未上場のままユニコーンを目指すという成長シナリオが脚光を浴びている。ただ私は、ベンチャー企業も不必要な赤字を許容することなく、早期に利益体質を構築した上で、IPOを行い、適切なコーポレートガバナンスの中で信用力を保持し成長を目指すのが最も望ましいと考えている。このシナリオでのベンチャー企業の資金調達先は、VCより、むしろ銀行と相性がいい。

言うまでもなくメガバンクは、その規模、人材、情報などあらゆる面で国内金融機関のトップに君臨している。そのメガバンクが本腰を入れてIPO支援を行うのだから、成長を志向するベンチャー企業にとって活用しない手はない。

IPOを目指すベンチャー企業は、ベンチャー支援を専門的に行うメガバンクの本部との接点を持って頂きたい。その企業に将来性があるのであれば、きっと期待以上の支援が得られることだろう。

[日経産業新聞2018年9月3日付]

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