2018年11月16日(金)

春秋

2018/8/31 1:26
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風鈴や打ち水、そして、よしずに冷や麦――。歳時記をめくれば、字面を見るだけで涼しげな季語が並ぶ。人々が暮らしのなかで、長い年月をかけはぐくんできた品々やならわしである。しかし、そんなアイテムでさえ通用しなさそうな常識はずれの今年の炎暑だった。

▼そして「暑さも峠を越える」とされる二十四節気の処暑を過ぎての大きなニュースである。岐阜市の病院でエアコンが故障した部屋に入院していたお年寄り5人が26~28日にかけ、相次ぎ死亡したという。病室では扇風機を代わりにしていたようだが、観測では21日以降、熱帯夜が続き、最高気温が35度以上の日もあった。

▼高齢で重症の患者さんが脱水症状を起こしたり、体力を奪われたりしたことはなかったろうか。院長は冷房の不具合に関し「死亡につながったとは考えていない」との見解とされる。警察が家宅捜索に入っており、司直による解明を待つほかないが、災害級と指摘されるこの夏の天候への警戒心に欠けていたかもしれない。

▼関東地方の際立って早い梅雨明けと、いつ終わるともしれない高温。多くの犠牲者を出し、今なお爪痕を残す西日本を中心とした豪雨。台風の迷走にも驚いた。列島の気象が未知の段階に入ったかのような気味悪ささえある。季節をめで、味わう前に、天災から身を守り、人災を招かぬ心構えがいるとは。風情より備えか。

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