2018年12月17日(月)

市場の透明性高める四半期開示は重要だ

2018/8/30 23:11
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上場企業が四半期ごとに公表する業績開示のあり方を巡り、米国で論議が起きている。本格的な見直しとなれば日本への影響も考えられるが、企業の経営状況をタイムリーに伝え、市場の透明性を高める四半期開示は投資家にとって重要な情報だ。

きっかけはトランプ米大統領のツイッターだ。四半期をやめて6カ月ごとの開示にすれば「柔軟性を高め、費用を節約する」と発信、米証券取引委員会(SEC)に研究するよう求めた。これを受けたSECは、開示の頻度を含めて開示制度について継続的に検討をしているとの声明を出した。

四半期開示への批判の背景には短期の収益で株価が動くことに目を奪われ、経営が中長期の視点を失うとの懸念がある。しかし四半期ごとに経営成績や財務状況を開示することは、中長期の目標へ向けて着実に進んでいるか途中経過を確認する意味が大きい。回数を減らせば、投資家が適切に判断する材料が損なわれてしまう。

欧州では2014~15年に四半期開示の義務化自体は撤廃した。ただ企業の多くは開示を続けている。英国の調査では、撤廃後に設備投資や研究開発の面で長期志向が強まる結果にはなってない。

見直しの視点も一つではない。JPモルガン・チェースの経営トップと米投資家のウォーレン・バフェット氏は、企業が予想として四半期の利益見通しを出すことが短期志向を助長しかねないとして、やめるべきだと主張した。一方で経営実績を四半期で公表することそのものは、市場の透明性を高めるのに不可欠だとしている。

日本の四半期開示は03年に東京証券取引所がルール化し、06年に金融商品取引法で法的に義務づけた。今年6月にまとめた金融庁の報告書でも四半期開示を続ける意義を認めている。もちろん各種開示とのバランスをみつつ、決算短信の内容の自由度を上げるといった検討は継続すべきだろう。

情報開示の多さが短期志向に直結するわけではないはずだ。経営環境がグローバル化し、変化も速まる中、タイムリーに企業が経営情報を把握し、投資家に提供することは市場の信頼性を高める。

短期的な株価の動きに対しては企業が中長期の視点から説明を尽くすべきだ。投資家の側も目の前の数値だけでなく経営戦略を問い、判断していく姿勢が企業の価値を見いだすことにつながる。

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