2018年9月25日(火)

女性不利 算法知り変える
SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

コラム(ビジネス)
2018/8/31付
保存
共有
印刷
その他

 1994年春、私は慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスの新入生キックオフに参加していた。壇上では歓迎スピーチをする教授がSFC(湘南藤沢キャンパス)設立の苦労エピソードを語っていた。

慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。

慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。

 当時SFCは設立から4年が経過し、初めての卒業生が出た年だった。伝統ある慶応義塾にとってのSFCは、いわば大企業にとっての新規事業みたいなもので、様々な反対意見にさらされてきたらしい。

 耳にした反対意見の一つは、今も心に残っている。「女子学生比率の高さが、SFC反対の理由だ。慶大の中では文学部に次いで女子比率が高い。女子学生は卒業後、いずれ家庭に入り、財布のひもが固くなり、母校に寄付をしない。一方、男子学生は卒業後、企業でいずれ出世して、役員にでもなれば母校に寄付金をもたらす。つまりSFCの女子学生が多いことは、将来、大学の経営危機につながりうる」――。

 大学とはいえ経営の視点で考えることは重要であるから、理にかなっていると思う人もいたのかもしれない。しかし当時18歳の自分には衝撃的な話で、だからこそ今でも、昨日のことのように思い出せるのであろう。

 学校の教科書は、高校生までの自分に「現代日本で男女は平等である」という理論を教えてくれた。しかし、大学は、入学したまさにその日に、社会はどういうふうなアルゴリズム(算法)でできているのか、という実践で役立つ真実を教えてくれた。

 先般、東京医科大学で不正入試疑惑が持ち上がり、議論を呼んでいる。女子の合格者数を抑制するため、女子の受験生が不利になる得点操作がなされていたという。私には二人の娘がいることもあり、残念だと思う気持ちは強い。

 本質的な問題解決としては、医師の職場環境が性差にかかわらず長く活躍できる場になることが重要だ。そこが変われば、医師の入り口である大学入学試験においても男女別の基準で判断するといったことは起きなくなるだろう。

 しかし、社会が変わるためには長い時間がかかる。だとしたら、不利な扱いを受けそうな当事者は、そのアルゴリズムを知りハック(突破)する知恵と強さも持たなくてはならない。

 たとえば、子供を保育園に入れるためにする活動のことを最近では「保活」というが、私は保活の相談を受けたら、まず役所へいって保育園入園判断の点数ロジックをもらうように勧める。勤労状況、家庭環境などによって点数があり、合計点数によって保育園入園を決めている自治体が多いからだ。これは通常、公開はされていないが情報請求すれば提示してくれる。

 社会を良い方に変えることを諦めず、同時並行で社会のアルゴリズムを知り、時には推察し、打ち勝つ力を身につけていきたい。

[日経産業新聞2018年8月31日付]

日経産業新聞ビューアーが10月末まで無料!

【秋割実施中!10月末まで無料!】
 各業界の新製品や新規事業についてまとめ読みできる日経産業新聞ビューアーが、今お申し込みいただくと10月末まで無料!自社の戦略立案に活用できます!

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報