2018年9月20日(木)

春秋

春秋
2018/8/30付
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 パラリンピックという言葉はもともと、下半身まひを示す英語の「パラプレジア」とオリンピックとの合成語だったという。しかし障害者スポーツの概念が広がり、世の意識が変わるにつれて「パラレル」の意味合いが強まった。健常者に並ぶ、もう一つの五輪である。

▼社会のまなざしの変化は、障害がある人たちの雇用が進んで仕事の場が広がってきた流れとも相まっていよう。日本では1960年制定の法律が徐々に整備され、達成できない民間企業へのペナルティーを伴う法定雇用率も引き上げられつつある。ところがそんな折も折、肩をがっくり落としたくなるインチキが発覚した。

▼中央省庁の大半が、雇用する障害者数を水増ししていた問題である。厚生労働省のまとめでは、ガイドラインを外れた不適切な算入は27の行政機関で3460人に及ぶ。昨年6月時点の本当の雇用率は1.19%なのに、2.49%に見せかけられていた。国は障害者の活躍など本気で考えていないと思わせる逸脱ではないか。

▼役所からは「対象範囲を勘違いしていた」といった声が聞こえるが、この弁明は通るまい。ちょうど2年後のいまごろは、東京でのパラリンピックもたけなわ。祭典へ向け、さまざまな人との共生や多様性確保が問われるというのに情けないことだ。異世界――パラレルワールドの出来事ではなく、現実のニッポンである。

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