2018年11月16日(金)

船舶燃料規制へ入念に備えを

2018/8/29 23:04
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船舶燃料に対する国際的な環境規制が、2020年1月から導入される。大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)の排出を減らすために、燃料に含まれる硫黄分の上限が引き下げられる。

現在、燃料に使う重油は今のままでは使えなくなる。海運は経済活動を支える物流の要である。規制の開始まで1年4カ月あまり。海運会社や石油、造船などの業界と行政が連携し、滞りなく移行できるよう入念に備えてほしい。

国際海事機関(IMO)が定める規制は、全ての海域が対象となる。海運会社が規制に対応するには大きく3つの方法がある。

(1)硫黄分の低い重油に燃料を切り替える(2)硫黄分を含まない液化天然ガス(LNG)を燃料に使う(3)従来の重油を使い続けるが、船舶に排ガスの硫黄分を取り除く装置を設置する――である。

だが、いずれの方法も一長一短がある。船舶に専用の脱硫装置を載せれば、燃料変更の手間は要らないが、装置に1基あたり数億円の費用がかかる。

LNGを燃料に使えば、硫黄分に加えて二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)も減らせるが、船舶にLNGを供給するインフラの整備はこれからだ。

海運会社の多くは硫黄分の少ない重油への切り替えを選ぶとみられるが、これには供給する石油会社との連携が不可欠だ。

原油を精製するとガソリンや軽油など様々な石油製品が同じ割合でできる。船舶向けの低硫黄重油の生産だけを増やせない。精製段階で硫黄分を下げる装置の設備投資も石油会社には重荷だ。

どの方法を選んでもコストが増える。最終的に負担するのは船の利用者や荷主だ。コスト負担を最小化する視点が欠かせない。

海運会社は低硫黄重油がどの程度必要なのか、石油会社に供給力があるのか、規制の開始までに綿密に確認する必要がある。船舶用の脱硫装置のコスト低減や、LNG船向けの供給インフラ整備を後押しする国の支援も必要だろう。

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