2018年9月24日(月)

変化に即応した安保戦略を

社説
2018/8/29付
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 日本を取り巻く安全保障環境の変化が著しい。政府が28日に公表した2018年版防衛白書は、北朝鮮の核・ミサイル開発を「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」と位置づけた。中国の海・空戦力の拡大への対処とあわせ、日本と地域の安定に資する効果的な戦略作りを急ぐ必要がある。

 防衛白書は巻頭で、16年以降の北朝鮮による3回の核実験や40発もの弾道ミサイル発射を取り上げた。同国への認識は昨年より表現が厳しくなり、緊張緩和への具体的行動が伴わない段階での油断を戒めている。

 今年6月の米朝首脳会談について「朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を、改めて文書の形で、明確に約束した意義は大きい」と指摘。一方で核・ミサイルの運用能力の向上を理由に「現在においても、脅威についての基本的な認識に変化はない」とした。

 北朝鮮は米朝会談の後も非核化への道筋を示さず、トランプ政権の次の一手も不明確なままだ。事態は楽観できず、日米両国はミサイル防衛システムの一層の強化などを続けるべきだろう。

 中国に関しては「軍事力の急速な近代化を進めており、わが国周辺を含む地域及び国際社会の安全保障上の強い懸念」との認識を引き継いだ。国防費の高い伸びを背景に、空母や次世代戦闘機、ミサイル戦力の配備を加速している。尖閣諸島周辺の動きも活発で、備えを怠ってはならない。

 自衛隊は離島防衛の強化に向けて部隊配置の見直しやミサイルの長射程化に着手しているが、予算面の制約が大きい。米国やオーストラリア、インドなど周辺国と協力し、力を背景とした現状変更を抑止する努力が重要になる。

 白書は宇宙やサイバー空間での対応強化、電磁パルス攻撃への備えにも言及した。巻末資料で自衛隊員の職種や生活を紹介したのは、近年の人材確保の難しさを反映した工夫だという。効率的な部隊運用を可能にする装備や組織のあり方の検討を急ぐべきだ。

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