2018年11月19日(月)

伝説的VC2社の特徴
新風シリコンバレー SOZOベンチャーズ創業者 フィル・ウィックハム氏

コラム(ビジネス)
2018/8/28付
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私のスタンフォード大学での授業ではスタートアップの重要な支援者でもあるベンチャーキャピタル(VC)の個性的な組織や歴史にも注目している。

シリコンバレーの伝説的なVCはなかなか表に出てこない。米国には5000を超えるVCがあり、投資に成功した額の70%が上位15~20社によるものとされている。成功の数の少なさが神秘性を引き立てる。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。

その神秘性をひもとく鍵は、私がよく知る代表的なVCのアクセル・パートナーズとベンチマークキャピタルの2社にある。

アクセルはアーサー・パターソン氏ら2人によって1983年に設立され、フェイスブック、スラックなどへの投資で知られる。同社は「グローバル・ベンチャー・エコシステム」のパイオニアで、良い企業には国境がないとの考え方で欧州やインドにも投資している。

スラックに投資したジェネラル・パートナーのアンドリュー・ブラッカーシア氏は「シリコンバレーでは新しい人材や知的な視力に囲まれているが、リンカーン、トロイといった米国の地方都市やバンクーバー、シドニーといった海外の都市にも世界を変えようとする企業家がおり、いつも感動させられる」と語っている。

投資の候補先を徹底的に理解しようとする「プリペアードマインド(徹底的な準備)」を貫いている。彼らがシリコンバレーでつくり上げた投資手法が新興国でも成功の秘訣になることを実績が証明している。

ベンチマークはシリコンバレーの伝説的VCであるMPAE(Merrill Pickard Anderson and Eyre)の解散に伴い、そこから来たケビン・ハーベイ氏とブルース・ダンリービー氏を含む4人のパートナーによって95年に設立された。ツイッター、ウーバーテクノロジーズ、イーベイ、インスタグラム、スナップショットと著名なスタートアップを含む300社以上に投資してきた。

特徴は「イコールチーム(同等精神)」の考え方。ウーバーに投資したジェネラルパートナーのビル・ガーリー氏は「熱意も洞察力も強い意志を持った起業家には、意欲的でかつ見聞の広い我々が一丸となって支援する必要がある」と語っている。投資の決定権や収益の配分、成功の貢献度までパートナー同士で同等に分配するポリシーを貫いている。投資先はシリコンバレーに集中し、必要とあれば1時間以内に全員が集まり、投資判断ができる体制を組んでいる。

VCも独自性をもってどのように成長し、運営し、継続して実践していけるかが成功の鍵だ。SOZOベンチャーズではどのようなVCであるべきかをチームミーティングや合宿で常に話し合うことを大切にしている。

日本企業とシリコンバレーをつなぐ投資の付加価値モデルやシリコンバレーのスタートアップのグローバル化への支援体制を模索しながら、トップファンドとの協業だけでなく、いいところを取り入れて切磋琢磨(せっさたくま)の世界に入る努力を続けている。

[日経産業新聞2018年8月28日付]

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