2018年11月17日(土)

ロヒンギャ危機はやく打開を

2018/8/25 23:05
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ミャンマー西部のラカイン州で暮らす少数民族のうちおよそ70万人が、軍などの迫害を受けて隣国バングラデシュに避難してから、ほぼ1年がたった。故郷への帰還はほとんど実現しておらず、大半はいまも難民キャンプでの生活を余儀なくされている。

甚大な人道危機が長期化しているのは憂慮に堪えない。難民たちが安心して故郷に戻れる環境を、ミャンマー政府はできるかぎり早く整えなくてはならない。

難民となっているのはロヒンギャと呼ばれるイスラム教徒たち。2017年の8月下旬に武装勢力の掃討作戦に乗りだした軍が、武装していないロヒンギャたちも攻撃した。無差別の発砲や女性への暴行、集落の焼き打ちなど「民族浄化の教科書的な例」(ザイド・フセイン国連人権高等弁務官)を繰り広げた、とされる。

ミャンマー政府は17年11月にバングラデシュ政府と早期帰還で合意した。それが進んでいないのは難民たちが「戻ればまた迫害される」と恐れているからである。

難民たちの恐怖をやわらげなくてはならない。まずはミャンマー政府が、軍による迫害があったことをほとんど認めない従来の姿勢をあらためて、難民たちの不信感をとりのぞく必要がある。

ことし7月、実態に迫るための「独立調査委員会」を設けたのは遅まきながら一歩前進である。だが、問題を報じたロイター記者の起訴といった情報統制をやめなければ、説得力は限られる。

帰還後のロヒンギャたちの生活再建も含め、国際社会がしっかり関与する枠組みが必要だろう。

米欧ではミャンマー政府への批判が高まり、対照的に中国政府は支持を表明している。日本は表だった批判を控え、支援を提供しながら事態の改善を促している。

多数派の仏教徒がロヒンギャに抱く差別的な感情や軍の強大な権限など、根の深い問題が背景にはある。慎重な目配りは欠かせないが、危機を早く打開する責任の一端を、日本も負っている。

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