2018年11月15日(木)

地銀再編を加速するきっかけにせよ

2018/8/25 23:05
保存
共有
印刷
その他

地域経済の停滞で苦境に立つ地方銀行の、合併・統合の流れを加速するきっかけとしたい。長崎県の親和銀行を傘下に抱えるふくおかフィナンシャルグループ(FG)と、同県最大手の十八銀行との経営統合を、公正取引委員会が承認した。当初予定から2年遅れの2019年4月に統合する。

16年に統合計画を発表した際、両行あわせた長崎県内の中小企業向け貸し出しシェアは約8割で、全国的にみても突出していた。

健全な競争を阻害し、取引先に適用する融資金利の引き上げにつながるとみて、公取委は統合を認めない方針を表明した。これに対し、銀行側と、統合を後押しする金融庁が反発し、公取委の審査は難航していた。

打開のカギとなったのは、両行が一部の貸出金をライバル金融機関にあえて肩代わりしてもらう「債権譲渡」だ。融資先を混乱させかねない異例の措置だが、譲渡額は1千億円近くまで積み上がった。この結果、統合後の中小企業向けシェアは65%に下がる。

県境をこえた銀行取引は定着している。かつてのように地域シェアで画一的に競争環境をはかるのには限界もある。公取委が債権譲渡の実行を評価し統合承認に転じたのは、妥当な判断だ。

長崎を舞台とした今回の地銀統合は、2つの点で重要な先例となる。ひとつは、かつては禁じ手とされていた同一県内の地銀合併が定着することだ。多くの店舗が重複しているので、リストラの収益押し上げ効果が大きくなる。

もうひとつは県境をこえた広域再編の加速だ。人口減に加え、日銀のマイナス金利政策の長期化で地銀の収益は加速度的に悪化している。18年3月期決算は、半分の54行で金利と手数料収入を合わせた本業利益が赤字となり、業界内の体力差が広がっている。

弱った銀行の経営が行き詰まる前の早い段階で、有力な地銀が主導する再編は望ましい。

もちろん再編は万能薬ではない。今回の統合で地銀最大手の座を固めるふくおかFGの責任は重い。統合すれば長崎の中小企業に貢献できる、という「公約」の実現が厳しく問われる。

縮小する地域経済で健全な競争環境をどう担保するかという難題は金融にとどまらない。地域の交通インフラの維持など、新しい競争政策の立案を政府全体として検討していく必要がある。

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報