2018年9月23日(日)

適切な疑問 新規市場開く
SmartTimes レランサ社長 スティーブン・ブライスタイン氏

コラム(ビジネス)
2018/8/27付
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 目の前のチャンスに気付かなかった、ということは日常にあふれている。

 これは私のクライアントである化学メーカーの営業スタッフの体験だ。気にも留めていなかった業界の企業から、ある製品についての問い合わせを受け、結局、通常の10倍の値段で売れた。その製品は、特定の業界や特定の使い方において大変価値のあるものだということに、化学メーカー自身が気付いていなかったという訳である。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

 市場開拓ということを考える場合、一般的には現在のビジネスを新しい市場で複製する、と考える人が多いようだが、実はビジネスが一番魅力的な価値を創造できるのは、そのやり方を変えた時だ。新規市場の開拓は、どこを見るかではなく、どのように見るか、の方が大切である。

 では、どのように見方を変えれば良いのだろうか。まずは、自分が持つ思い込みに疑問を投げかけてもらいたい。営業スタッフの場合、「当社がまだ顧客としていない業界で、我々が提供するものに価値を見いだしてくれるところはないか」と常に考える習慣をつけたらどうだろうか。

 私は、市場に対する見方を変えてもらおうとするとき、以下の2つの質問をすることにしている。

 一、顧客にとって最も差し迫った問題で、もし我々が解決できれば価値を見いだしてもらえるようなものは何か。

 二、我々の製品にオプションを付けるとして、どのようなものであれば顧客にとってユニークで料金をもらえるか。

 つい最近、私が行った農業用の野菜種苗を扱う企業の地域営業責任者のためのワークショップでもこの2つの質問をした。

 彼らの抱えていた課題のひとつは、せっかく追加オーダーが入っても種苗が足りない、という事態が頻繁にあることだった。種苗は機械で生産できるといったものではないので、かなり前からきっちり計画を立てる必要がある。

 そこで私は「追加分の購入をオプションとして提供できるか。できるとしたら、その料金はどの程度になるか」ということを、彼らに考えてもらった。

 彼らの一致した答えは、オプション設定で、最低でも20%の売り上げ増が期待でき、営業利益は80%増になるというもの。ワークショップ参加者たちの態度はだんだん興奮気味に変わっていった。

 あなたにとっても、素晴らしい新規市場を開拓するチャンスは目の前にある可能性が高い。それを見つけるには、適切な疑問を抱きさえすればよいのである。自分の顧客、市場、業界、製品、そしてビジネスについて、思い込みを正すきっかけになるような、刺激的な質問は何だろう。怖がらずに、そういった質問を自分に投げかければ、考えてもいなかったような答えが見つかるかもしれない。

[日経産業新聞2018年8月27日付]

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