2018年9月23日(日)

モノ言える職場が安全を生む

2018/8/22 23:05
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 航空機のずさんな整備実態や記録の改ざんが明るみに出て、国土交通省から改善命令を受けた貨物専業の航空会社、日本貨物航空(NCA)が不正の起きた背景や再発防止策をまとめた。そこから浮かび上がるのは、職場の誰もがおかしいことはおかしいと声を上げられる組織文化の重要性だ。

 NCAの不適切整備は、鳥との衝突で機体が損傷し、本来なら「大修理」すべきところを「小修理」ですませていた事例など、過去5年で9件に及んだ。

 さらに不正をごまかすために、記録を書き換えたり、隠蔽したりした例も2件あった。航空の安全に影響を及ぼしかねない重大な法令違反であり、関係者は深刻に受け止める必要がある。

 不正の背景の一つは整備部門の恒常的な人手不足だ。近年の航空貨物需要の伸びを受け、NCAも機材を増やしてきたが、人手不足が深刻な整備士については十分な手当てができなかった。

 今回の不正発覚を受け、提携先の全日本空輸から整備担当者を派遣してもらうとともに、整備能力に見合う水準まで運航体制を縮小するという。

 これらは当然の措置だが、それ以上に重要なのが、誰もがモノを言える企業風土の醸成だ。

 NCAの整備部門は1チーム3~5人で構成され、そのなかで経験や知識を持つリーダー格の人が判断を下すと、他のメンバーはそれに異議を唱えにくい空気だったという。それが不適切整備が多発する背景にもなり、後の隠蔽工作にもつながった。

 仮にリーダーが何か見落としをすれば、重大事態に直結する可能性も高まる。安全を担う組織としては、あってはならない状態だったといえる。

 各人がおかしいと感じればしっかり自分の意見を言い、上司もそれを嫌がるのでなく、謙虚かつ真摯に受け止める。そんな意識改革がNCAの再出発には欠かせない。多くの日本企業にとっても共通の課題である。

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