2018年9月26日(水)

選ばれる国へ開放と改革を急げ

2018/8/20 22:49
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 長年の同盟国の製品に安全保障を理由に高率関税をかけようとする米トランプ政権。国家ぐるみでIT産業育成を進める中国。米欧の金融緩和の修正で、変動にさらされる新興国市場。グローバル経済が揺れるなかで、日本は世界の投資家や労働者に選ばれる国になるための国内経済の開放と改革を今こそ進めるべきだ。

改革に外国人の目線を

 日本への外国人旅行客は2017年は前年比19.3%増の2869万人と5年連続で過去最高を更新した。最近は日本人もあまり訪れないような地方観光地でも外国人客をみかけるようになった。地方自治体もどうやって外国人客を呼び込み、消費してもらうかに知恵をしぼるようになってきた。

 日本は長い間、製品を海外に売り、投資はするが、国内は閉鎖的といわれてきた。訪日外国人客の増加を、日本の新たな開放政策のきっかけにすべきだ。

 外国人観光客の目で国内をながめると、日本の抱える問題が浮かび上がってくる。

 小規模な飲食店や商店にいくとクレジットカードやスマホ決済が使えない、という不満が外国人客からあがった。日本は先進国はもとより中国など新興国に比べてもキャッシュレス化が遅れている。関連業界も対応を急ぎ始めた。

 ライドシェアや民泊などシェア経済。海外でできていることが、なぜ日本でできないのか。外国人客の問いかけは日本の国内改革への新たな外圧になっている。何でも海外にあわせればよいわけではないが、なぜ日本で認められないのか、なぜ規制があるのかを問い直す良い機会だ。政府は民泊などの制度整備を始めたが、まだその歩みは遅く十分とはいえない。

 観光客とともに増えているのが働く外国人だ。日本の外国人労働者は17年10月末で127万人と、5年で倍増した。人手不足で悩む地方の中小企業からの要望で、政府は単純労働にも門戸を開く新在留資格づくりに動き始めた。

 外国人労働者の受け入れにあたっては、当座の人手不足を解消するその場しのぎではなく、日本語教育など国内の受け入れ体制づくりを進めることが重要だ。

 日本では1980年代あたりから、明治維新、第2次大戦後に続く「第3の開国をせよ」という掛け声が繰り返されたが、閉鎖的な部分は残っている。一例をあげれば、海外からの直接投資だ。日本への投資は円安もあって増えてはいるが、名目国内総生産(GDP)に占める投資残高の比率は16年末で5%台と、30%超の米英独や10%超の中韓にも及ばない。

 日本企業は海外に投資して稼ぐ戦略を進めている。人口減少で国内市場が縮小するなかで、成長著しい新興国や規模の大きい米欧市場で直接投資を増やして稼ぐことは理にかなっている。

 ただ、雇用を確保し内需を維持するには国内に投資機会をつくり日本企業だけでなく海外からの投資を呼び込むことが重要だ。

 地方自治体は、外国人の観光客や労働者の受け入れには積極的になってきたが、外国からの直接投資の誘致にもさらに力を入れたい。米欧などは国だけでなく自治体が独自で海外企業の投資誘致を積極的に進めている。

海外資金を起業にも

 最近増え始めている起業にも海外の力をいかしてはどうか。学生などで起業を志す若者が増えてはいるが、その事業が国内にとどまっている例が多い。海外投資を呼び込むことで、日本のスタートアップ企業を世界につなげる効果も期待できる。

 アジアなどの新興国経済が発展し国内産業が高度化し雇用市場が拡大すれば、グローバルな人材獲得競争は激しくなる。

 今は、アジアなどで日本で働きたいという人々がいるが、いずれはそうでなくなるかもしれない。特にITなどで高度なスキルを持つ人材を日本に呼ぶには、硬直的な日本の労働市場の改革も急がなければならない。

 人口減少、少子・高齢化社会は日本の社会保障や財政の持続性を脅かし、多くの国民が将来に不安を持っている。日本に活力をもたらし必要な成長を確保するには、経済を開放する国内改革が不可欠だ。グローバル経済の負の面を嘆くばかりではなく、その躍動をいかに国内に取り込むかを真剣に考える時だ。     (おわり

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