2018年11月20日(火)

評価ビジネス、広がる予感 報酬×信頼性 仕組み課題
先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

コラム(ビジネス)
2018/8/20付
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NIKKEI MJ

世界的な大手コンサルティング企業のアクセンチュアがこのほど「バンキングテクノロジービジョン2018」を発表した。銀行業界では、今後3年間で最も重要な技術として仮想通貨関連技術の「ブロックチェーン」や「スマートコントラクト」が注目されると指摘している。

GINKANの「シンクロライフ」は、良質な投稿には報酬としてトークンを提供できる

GINKANの「シンクロライフ」は、良質な投稿には報酬としてトークンを提供できる

仮想通貨とその技術は、金融をはじめ、数多くの既成産業を刷新するものと注目されており、新しい経済のうねりを引き出す効果もある。筆者は仮想通貨の概念が「評価経済」を加速させると見ている。

評価経済とは文字通り、さまざまな取引において、お互いに相手を「評価」(レビュー)するような経済と理解すればいい。インターネットが普及する以前にも評価は行われてきたが、利用者側の声は必ずしも大きくなかった。

今では、評価情報は広範に、かつ、重要なものとして伝わり、商品や提供者の事業を左右しかねない影響力を持つ。フリーマーケットのほか、民泊のような「シェアリングエコノミー」も、双方の評価の積み重ねが次の利用を生む原動力となっている。

評価は「信用」を形成する。ついには個人をある種の金融商品と見立てる「VALU(バリュー)」のような事業さえ誕生した。

バリューは、独自のトークン(疑似仮想通貨)である「VA」発行の仕組みを、自分を金融商品化したい個人に提供する。自分の信用と能力を材料に、VAを発行し売却することで資金を手に入れることができる。

一方で買い手は、応援したいという思いに加えて、発行者から特典を得たりできる。VAが高騰すれば売却して、差額を得ることもできるとの触れ込みだ。

バリューは残念ながら、人気ユーチューバーが自ら情報をあおり、自分のVAを高値で売り抜くというトラブルを生んでしまった。

これでわかるように、仮想通貨の概念が加わることで、評価を直接、金銭的価値に結びつけるような事業を構想しやすくなってきている。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。東京都出身。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。東京都出身。

例えばシステム開発スタートアップのエンゲート(東京・渋谷)は、独自に発行したトークンをファンに購入してもらうことで、お気に入りのスポーツチームに「投げ銭」できる仕組みを近くスタートする。

評価に信頼性が求められる事業も多くなる。GINKAN(東京・新宿)が運営するレストラン評価のSNS「シンクロライフ」では、参加者は自身が体験したレストランの評価を投稿するが、良質な投稿に対して報酬としてトークンを提供するという。

医療や健康、財産に関わるような情報サイトなど、今後、続々と評価サイトが現れるはずだ。もちろん、課題は、正確で品質の高い情報を集めることだ。

単に応援行為であれば、ファンの熱い思いがあれば十分だが、トークン欲しさだけで投稿者が増えては、使える評価サイトにならない。

豊富な経験や専門性をもって情報に接し、投稿に対し時に厳しい評価を行える評価者をどう引き込めるか。評価経済をテコにしたビジネスが健全に機能するには、報酬制度と評価を評価する仕組みをどう組み合わせるのかの設計が肝となる。

[日経MJ2018年8月20日付]

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