2018年9月19日(水)

トルコ通貨危機の影響に世界は目配りを

2018/8/13 23:11
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 トルコと米国の政治的な対立をきっかけに、トルコの通貨リラが急落している。中東の地域大国であるトルコ経済の混乱は、世界の金融市場や他の新興国に波及する懸念もある。世界の金融当局者は混乱が広がらないようにしっかり目配りすべきだ。

 トルコ政府は2016年に起きたクーデター未遂に関与したとして、トルコ在住の米国人牧師を拘束した。トルコが解放要請を拒否したため、米政権は経済制裁を発動し、トルコも対抗措置を取るなど制裁の応酬に発展した。

 トルコのエルドアン大統領が金融政策への介入姿勢を強めていることも混乱の原因だ。中央銀行は、インフレ抑制や通貨防衛のために必要な利上げに動けず、リラは対米ドルで年初の半値近くに急落し最安値を更新した。

 トルコは慢性的な経常赤字を抱える。通貨急落は対外債務返済や外国投資呼び込みの障害になり、それがさらに実体経済を冷え込ませる悪循環を招く懸念がある。

 米国とトルコは、ともに北大西洋条約機構(NATO)の加盟国である。米国との亀裂拡大はトルコのロシアやイランへの接近を促しかねない。中東で最大規模のトルコ経済の失速は地域の不安定化を加速するおそれもある。

 トルコ政府は通貨危機を抑え込むために、政策金利の引き上げや金融システムの健全化など、適切な財政・金融政策を早急に取らねばならない。

 危機が世界に広がらないようにすることも重要だ。リラ急落で他の新興国通貨も売られ、投資家のリスク回避の動きが日米欧の株式市場にも影響し始めている。

 新興国からの急激な資金流出が起きないよう、各国の金融当局は金融政策運営も含め細心の注意を払うべきだ。トルコ向け融資の多い欧州の銀行の状況など、世界の金融システムにどう影響するかも点検する必要がある。

 エルドアン大統領は否定しているが、国際通貨基金(IMF)からの緊急支援も、今後必要に応じ求めていくべきだ。

 今回の危機の背景には、トランプ大統領の鉄・アルミ関税の追加引き上げ表明など強硬な対応もある。新興国の経済危機の広がりは米株価の下落などを通じ米国経済にも跳ね返ってくる。グローバル経済のもとで極端な米国第一主義をとれば自らも傷つくことを、米国は認識すべきである。

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