2018年10月20日(土)

春秋

2018/8/11 1:10
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新聞紙上で「サザエさん」の連載が始まったのは1946年4月。終戦の翌年だ。作者の長谷川町子さんの疎開先、福岡県の「夕刊フクニチ」の4こま漫画がルーツだ。GHQの占領時代に人々は、何に笑いを求めたのか。庶民の哀歓や世相を伝える貴重な資料である。

▼配給、相次ぐ停電……。戦後、頻繁に登場するネタだ。48年に始まり、4年間で廃止されたサマータイムも何度か登場する。サザエさんは長っ尻の客を追い払おうと一計を案じる。柱時計の針を進めたのだ。客は「もう12時ですか。とんだ長居を」と腰を上げる。「ウチはきょうからサンマータイムにしたワ」というオチ。

▼当時は「サマー」ではなく、「サンマー」と呼んだ。5~9月の標準時を1時間早めたが、終業時間が変わらない職場も多く、国民の不満が募った。あれから70年。安倍晋三首相は、夏に全国一律で時間を早めるサマータイムの導入の是非を検討するよう自民党に指示した。東京五輪・パラリンピックの暑さ対策だという。

▼文部科学省も、学生ボランティアの参加を促すため、大学などに五輪期間中の授業や試験の繰り上げを求めた。ネット上では、「学徒動員か」というコメントも。国家的行事を成功に導こうという気持ちは分かる。が、そのために市民生活を混乱させては本末転倒だ。夏時間をよく知る、サザエさんの見解も聞いてみたい。

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