2018年11月14日(水)

定年延長は官民が一体で

2018/8/11 1:06
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人事院が国家公務員の定年を原則65歳に延ばすよう求める意見を国会と内閣に伝えた。一億総活躍社会に向け、長く働ける環境づくりは重要だが、官があまり先走ると不公平感を生みかねない。民間企業の実態を丁寧に調査し、官民が足並みをそろえて進んでいける方策を考えるべきだ。

国家公務員の定年は現在、原則60歳である。年金支給開始年齢の65歳への引き上げを踏まえ、民間企業における定年後の再雇用とほぼ同じ再任用という仕組みが導入されている。

人事院によると、再任用の希望者は年々増え、2018年度は1万3000人を超えた。その7割が主任・係長級での採用のため、給与減や地位の低下への不満が増しているそうだ。

公務員がやる気を失い、行政サービスが低下しては困る。とはいえ、民間の再雇用では給与水準が下がる事例が大多数だ。最高裁は6月、そうした給与減は不合理ではないとの判決を出した。

再雇用ではなく、定年延長や定年廃止を選択している民間企業はまだ2割に満たない。官だけが急いで定年を延ばさなくてはならない理由があるだろうか。

定年を延ばすと移行期間中、退職者が大幅に減るため、国の総人件費は当然、増えることになる。財政難のおり、歳出増はできるだけ抑えたいところだ。

そのための対策として、人事院は(1)賃金カーブの見直し(2)一定の年齢になると管理職から退く役職定年制の導入――を挙げる。いずれも民間ではすでに当たり前になっている。定年延長と引き換えでなく、取り組むべきだ。

少子化時代を乗り切るには、豊富な経験を持つベテラン世代に頑張ってもらうことが不可欠だ。だからといって年功序列的な体質を引きずったままやっていけるほど日本経済に余裕はない。

官民が協議会などを設け、一体となって同じ悩みに取り組む。それこそが日本の活力を引き出す道ではないか。

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