2018年9月19日(水)

「君の名は。」ヒロイン探しにバス停へ(岐阜県飛騨市)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
中部
2018/8/12付
保存
共有
印刷
その他

NIKKEI MJ

 岐阜県の最北端にある飛騨市。中心部から車で30分ほど富山県境側へと向かうと「落合」と呼ばれたバス停跡がある。今は巡回バスの路線自体が廃止されている。だが、ここは市内有数の人気スポットだ。市の推計で来訪者は2016年8月以降で13万人を超える。3分の1は訪日客という。

飛騨市の推計で映画公開以降の訪問者は13万人超。3分の1は訪日客とみられる

飛騨市の推計で映画公開以降の訪問者は13万人超。3分の1は訪日客とみられる

 この場所は16年8月に全国公開され、大人気となった新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」に登場した場面のモデルとなった。公開前に製作スタッフが飛騨市を巡って絵になる場所を探し、駅や図書館、神社が映画に登場している。

 映画で飛騨市は架空の町「糸守町」として描かれている。主人公の男子高校生が友人とともに糸守町を訪ね、ヒロインの女子高校生を探す場面でバス停が登場する。バス停の壁には、今では珍しい小型の郵便ポストが取り付けてある。

 7月半ば、バス停を訪ねてみると、15冊目となる訪問者向けの大学ノートが置かれていた。茨城県日立市、京都市、富山市など全国のファンが来訪の感想を書き込んでいた。台湾や中国・アモイなどからの訪日客も中国語などでメッセージを残していた。「2回目です」といったリピーターの書き込みも多かった。

 バス停にノートを置いているのは飛騨市役所だ。ノートや交流サイト(SNS)から来訪者の思いを読み取り、この2年間、人気スポットを維持してきた。

 バス停は映画公開時には看板や時刻表が撤去されていた。モデルとなった場所を回る「聖地巡礼」の人が増え始めたころ、市幹部の会議で「映画と同じ絵になるようにしよう」と都竹淳也市長が指示し、トップダウンで復活させた。

 バス停内のポスターの位置について「SNSに『映画とは違っていた』と書き込まれたのを見て、同じ場所になるように貼り直した」(飛騨市でアニメを活用した街おこしを担当する地域振興課の横山理恵さん)こともある。

 逆にバス停の周囲には、自販機が1台あるだけでグッズ販売店どころか一般の商店すらない。都竹市長は日ごろ「ここが聖地です、という打ち出し方はファンの思いを理解していない」と強調している。

 「新海作品のファンは若者が中心。今後末永くこの場所を訪れてくれる」(横山さん)。住民が自発的にバス停を守る活動をするなど、地域が聖地を愛する機運も広がってきた。

(岐阜支局長 小山隆司)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2018年8月12日付]

日経MJビューアーが10月末まで無料!

【秋割実施中!10月末まで無料!】
 日経MJではヒット商品の「売れる理由」を徹底リサーチ。売り場戦略から買い手の最新動向まで、独自に取材することで各社の事例・トレンドが分かります。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報