2018年9月22日(土)

他国に左右されない安定した日中関係に

2018/8/9 23:03
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 日本と中国が平和友好条約に署名して12日で40年になる。両国は歴史認識や安全保障で対立しつつも、経済では相互依存を強めてきた。その歴史を振り返りながら、世界2、3位の経済規模を持つに至ったアジアの隣国関係の将来像を考える機会にしたい。

 中華人民共和国は1949年に成立したが、公式の日中関係は空白が続いた。72年になって国交を正常化。78年8月の平和条約署名後、10月に当時の鄧小平副首相が来日し、批准書を交わした。経済の重要性を知る鄧氏は新幹線に乗り、松下電器産業(現パナソニック)の工場も視察した。

 文化大革命(66~76年)で経済が停滞した中国は、鄧氏主導で2カ月後の12月に経済面の「改革・開放」路線を大々的に打ち出す。中国のその後の短期間での驚くべき経済成長には、日本との交流経験が生かされている。

 両国は尖閣諸島を巡り対立し、2012年には中国で日系企業が襲われる反日デモも起きた。その後、双方の努力の結果、この5月には李克強首相が5年前に就任してから初めて来日したが、習近平国家主席はトップになったあと、一度も日本を訪れていない。

 李首相は来日時に日中関係について「正常な軌道に戻った」と明言した。王毅国務委員兼外相も先のシンガポールでの日中外相会談でこれを踏襲した。積極的な姿勢を歓迎したい。

 安倍晋三首相も中国主導の新シルクロード経済圏構想(一帯一路)を巡り、第三国での日中ビジネス協力に前向きだ。一方、東シナ海での偶発衝突を避ける「海空連絡メカニズム」の方は、運用上の実効性確保が課題になる。

 中国の一連の対日接近には、激化する米中貿易戦争の影響もある。孤立を避けたい中国は、米国の同盟国である日本を含むアジア周辺国、欧州連合(EU)などとの関係づくりに腐心している。

 アジアの経済大国である日中両国が安定的関係を築くことは、アジアと世界の利益につながる。双方は条約40年の節目を機に、他国に左右されにくい信頼関係を少しずつ育む必要がある。

 双方の国民感情を和らげるには、両国トップの相互訪問の実現が極めて重要である。今後は首相の早期訪中、そして来年にかけての習近平主席の初来日に向け、一つ一つ順を追って調整が進むことを期待したい。

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