2018年11月13日(火)

石炭火力向け融資の精査を

2018/8/8 22:26
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3メガ銀行が石炭火力発電事業に対する融資基準をそれぞれ見直した。温暖化ガスの排出量が多い石炭を使った発電に厳しい視線が向けられており、基準を厳しくした。だが新基準は国際的な潮流を踏まえると、まだ緩い。融資実行に際して、国内外の案件ごとに精査することが必要だ。

三井住友銀行は石炭火力発電のなかでもエネルギー効率の優れた案件に新規融資を絞る。具体的には温暖化ガス排出量が1~2割少ない「超々臨界圧」以上の技術を使った事業に限る。三菱UFJ銀行とみずほ銀行はそこまで明確にしていないが、融資の可否や条件を1件ごとに検討するという。

東京電力福島第1原子力発電所事故で日本のエネルギー政策は見直しを迫られた。政府の計画では2030年でも石炭が発電量の26%を占める。安価な電力を安定的に供給するために石炭火力は当面不可欠である。

それだけに銀行が融資する際に、効率的な発電技術の導入を事業者に求めるのは大切な役割となる。メガ銀は融資を通じ、途上国への石炭火力発電所を含め、インフラ輸出の一翼も担ってきた。

ただし、国際的には仏BNPパリバや米JPモルガン・チェースなど欧米金融大手が相次ぎ石炭火力発電に関連する融資を全面停止したり、大幅に削減したりしている。企業や金融機関に環境や社会問題への配慮を求め、投資家が投資先を選別する「ESG投資」が急速に広がっているためだ。石炭関連ビジネスは批判の的だ。

日本でも三井住友信託銀行が初めて石炭火力発電向けの融資を全面的にやめる方針を決めた。いくら高効率でも石炭を使う限り温暖化ガスの削減に限界があると判断したという。同社は信託銀行として「投資家」の横顔を持つ。

海外株主が多い3メガ銀にとってもESG投資の影響力は無視できない。今後は石炭火力向け融資の残高が大きいほど投資家のマイナス評価につながる。そんな問題意識を強めておく必要がある。

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