2018年9月25日(火)

医大の入試不正が問う女性差別の病理

2018/8/8 22:26
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 いったいどれほどの女性の夢やこころざしが、不当な合否判定で踏みにじられたのか。東京医科大学が入試で、女子受験生を一律に減点し、合格者数を抑制していた。性別を理由にした差別と指弾されても仕方あるまい。

 同大の内部調査委員会がまとめた報告書によると、女子を不利に扱う点数操作は遅くとも2006年度入試から続いていた。4浪生も女子と同様に不利に扱った。一方、合格を頼まれた受験生には特別に加点していた。

 不正は、文部科学省の汚職事件で在宅起訴された前理事長が主導し、寄付金や個人的な謝礼を受け取ることもあったとされる。

 性別による得点調整について、報告書は「女性差別以外の何物でもない」「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる、というのが理由のようだが、断じて許される行為ではない」と強く批判した。

 確かに女性は出産、育児で離職しやすい現状はある。だが両立が難しいなら、働きやすい環境や制度を整えることこそ重要だ。学ぶ機会を奪い、医師として働く道を閉ざしていいはずがない。

 男女を問わず、勤務医の長時間労働は大きな問題だ。必ずしも医師がする必要のない業務を看護師らが分担するなど、対策を急ぐ必要がある。「外科は女性に向かない」といった旧来の意識が、医局や女性自身にないかも十分に検証する必要があろう。

 それでもなお入試で女性合格者を抑制する合理的な理由があるならば入試募集要項に明記し、その妥当性を世に問うべきだ。

 今年の民間調査によると、小学6年の女児が将来就きたい職業の1位は医師だった。医師に占める女性の割合は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均で約4割だが、日本は2割にとどまる。どうすれば意欲と能力のある人材が医師として社会に貢献し続けられるか。医療に携わる全ての関係者が考えねばならない。

 報告書を受けて会見した東京医大は、得点操作を根絶すると明言した。

 幹部が不正入試の当事者でもあった文科省は、過去の入試で合格圏に達していた女子らの救済を指導するのはもちろん、他大学でも恣意的な合否判定がなかったか、調査を徹底すべきだ。各大学が男女別の受験者数と合格者数を開示するだけでも効果があろう。

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