2018年9月26日(水)

中国の独禁法運用は適正か

2018/8/4 20:19
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 中国で独占禁止法が施行されて今月で10年となった。独禁法とはカルテルや寡占による市場のゆがみを正し、健全な競争環境を創出・維持するための法制だ。

 自国企業の保護や通商摩擦の相手国へのけん制に使うことがあってはならないが、中国の独禁法運用がこの原則に沿っているかどうか、疑問の声が高まっている。

 世界に衝撃を与えたのが、半導体の米クアルコムによる同業のNXPセミコンダクターズ(オランダ)の買収案について中国の独禁当局の承認が得られず、買収断念に追い込まれたことだ。

 中国側は「不承認ではなく、審査期間を延期しただけ」と主張しているが、クアルコムの最高経営責任者は「地政学的に難しい環境にある」と述べた。米中間の貿易摩擦やハイテクをめぐる覇権争いが激化するなかで、中国側の政治的判断が働き、買収が阻止されたと示唆する発言だ。

 中国以外の各国独禁当局がそろって買収にゴーサインを出していた事実を考慮すれば、こうした示唆にも一定の根拠があると言うべきだろう。中国当局は外国企業の統合については審査が厳しく、国内企業については甘いという指摘も以前からあった。

 だが、独禁法によるM&A(合併・買収)審査を通商摩擦の道具に使うのは、本来の法制度の趣旨から大きく外れている。外国からの報復を招きかねないという点でも非常に危うい措置であり、憂慮せざるをえない。日本や米欧などの政府が連携して、中国に適切な独禁法の運用を働きかけることも必要ではないか。

 そもそも半導体などの先端分野では、人材や資本が国境を越えて自由に往来することで、イノベーションが生まれ、世界中の人々がその果実を享受してきた。正当な理由なく「国境の壁」を高くすれば、技術革新は減速し、その代償は極めて高くつくだろう。

 それは中国だけでなく、米トランプ政権を含めて各国政府が肝に銘じるべき点である。

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