2018年9月24日(月)

家計に長期で成果もたらす資産運用業に

2018/8/4 20:19
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 日本の資産運用ビジネスは家計の期待にこたえきれてないのではないか。そんな疑問が改めて強まっている。長い目でみて顧客にふさわしい商品を提供し、投資が成果につながる資産運用サービスの担い手として質を高めてほしい。

 家計で保有が増えているとみられていた投資信託が実は減っていた。日銀が発表した資金循環統計では3月末の保有残高は73兆円。3カ月前に発表した昨年12月末の109兆円から大きく減った。

 日銀が集計方法を精査し、30兆円を超える大幅な修正が入ったからだ。家計の「貯蓄から投資」の流れは足踏みしたままであることが浮き彫りになった。

 もう一つ、金融庁の調査によると、銀行29行で3月末時点で投信を保有する顧客のうち、46%が損失を抱えていた。売却して利益を得た顧客は含まれないといった集計ではあるものの、半数近くが損をしているのは厳しい結果だ。

 投資の成功体験がなかなか広がらない。長引くデフレなど環境の難しさもあるだろう。しかし、短期的な収益を狙うような商品を金融機関が設計して提供し、それを購入した顧客が結果として高値をつかんでしまう繰り返しから抜け出せていないのではないか。

 本来、長期投資に有効とされるのは積み立て型だ。一定額で買い続ければ安いときに多めに、高いときに少なく買うのでコストを抑えられる。税制優遇も整いつつあり、退職まで時間がある若い世代を中心に広がるのが望ましい。

 金融機関の中で運用部門は低く見られがちだった。それを変え、高度化する運用を担う人材を厚くし、IT(情報技術)の活用も広げるべきだ。投資先の価値向上を促す取り組みも重要だろう。

 米国では資産運用ビジネスは大きな成長産業だ。年金マネーが投信に継続的に流入するオーストラリアのような国もある。

 「資産寿命」という言い方がある。長寿化により、寿命より先に資産が尽きてしまうリスクだ。老後も資産を効果的に運用しながら取り崩すことも考える必要が出てきた。そうした家計のニーズにこたえるには、個別の事情に合わせたきめ細かい商品やサービスの提供がいっそう大事になる。

 公的年金の財政は一段と厳しさを増し、民間の資産運用業が果たすべき役目は重い。広く信頼され、長期に家計の資産形成を支える担い手になっていってほしい。

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